このニュースレターでは、Web3に興味のある方に向けて、話題のトピックをやさしく解説していきます。毎週水曜日6:00に配信しておりますので、情報収集にぜひお役立てください。クリプトを楽しみながら一緒に学習していきましょう。
1. Main Topic:🌈 グラデーションの中にある「Centralized vs. Decentralized」
Issue #74: Spectrum of Decentralization
今回は上記の記事が非常に面白かったので、ぼくなりの解釈や意見を交えつつ、この記事をご紹介します。
テーマは「分散化」についてで、上記の記事の結論は「中央集権的であることor分散型であるこは、時間軸のことなるグラデーションのようになっている」と考えるべきである、ということです。
分散化の種類
Web3というとイメージとしては「分散型」というワードが枕詞のように使われるケースがありますが、この記事によると分散化には2種類であると整理されており、
分散型インフラ(異なるエンティティ数千のNode)
分散型ガバナンス(中央集権的な意思決定機関がない)
とされています。
よくあのプロトコルは、中央集権的な運営がされているから安心できないということを耳にしますが、どの基準で中央集権的なのかという議論は必要です。インフラなのか、ガバナンスなのか、その両方なのかといった具合です。
上記の記事の結論は、非常によく納得できる点は、「どのようなプロジェクトであっても最初は必ず発起人が必要だ」という事実です。Bitcoinでさえもsatoshi nakamotoという発起人が最初は中央集権的に始め、今のように分散化したといえるでしょう。
分散化のトレードオフ
また、この記事の中で語れれている部分で、より低レイヤーになるほど公共財としての振る舞いをすべきであり、より分散化すべきものであるということです。
そして、アプリケーションなどのユーザーに近い存在は、中央集権よりであっても迅速対応など、その方がUXとして優れているのであればその方が良い、という考え方が示されています。
つまり、二者択一のように、最初から分散化を求めるような姿勢は適当ではないということです。
上記の図でいうと、技術スタックの上の方にいるほど、分散化することの恩恵は減少する、という示唆は非常にわかりやすく理解しやすいものだと思います。
なお、HashHub Resarchの無料記事で、「Web3スタートアップの創業者が陥る罠」という論考が公開されていますが、DAO化やトークン発行、とりあえずNFTといった手につきやすい(悪く言えば発想が短絡的な)手段によってWeb3領域での起業を試みる事態を同タイトルのとおり指摘しています。
結論は、地道なPMF(プロダクトマーケットフィット)が重要であり、人が求めるものを提供することが重要であるというシンプルなものです。VCの記事の引用をするのなら、投資成否の観点は、
①どのような実在するペインポイントを解決しようとしているのか。
②そのソリューションが本質的な解決になるか。
だそうです。
参考:Web3といえどもスタートアップ成立の基本は変わらない
分散化は手段であり最終的な目的地点であることはあっても、何の準備のないまま最初から目的地点を実現しようとすることは困難であることのように、今取り組んでいるものがどのレイヤーにいるのか、現在地を把握する必要があるでしょう。
さらに、そのプロダクト(プロジェクト)は、分散化に向いているものなのか、それとも集権的に管理した方が良いものなのか、ステージや提供したい価値に基づいて、PMFしていく姿勢が最も重要であることだと認識しました。
本日のMain Topicは以上です。
もし、「ここが面白かった」、「参考になった」などの感想がありましたらTwitterでシェアしていただけたら大変ありがたいです。より良いニュースレターにしていく上での参考とさせていただきます。
2. Web3 Topics
今週までのWeb3に関連するトピックをピックアップしていきます。
インプットにお役立てください。
1.Web3 Development Remains Strong Despite Crypto Downturn: Report
Telsta VenturesというVCの調査によれば、ベアマーケット(下落相場)でありつつも、Web3開発者の関心は依然として失われていないというレポートが公開されました。
対象チェーンは、Ethereum、Bitcoin、Solanaです。1,000以上のWeb3に関連す開発を行う組織と30,000以上のGitHubリポジトリなどを含むオープンソースプロジェクトなどが、調査の対象です。
彼らのレポートでは、各チェーンのコントリビューター コミュニティの成長を 4 年間の複合年間成長率 (CAGR) で概説すると、ネイティブ トークンの昨年の価格ピーク以降の毎月のアクティブなコントリビューターの変化を比較すれば、
Ethereumのコントリビューター コミュニティは 25%
ソラナは 173%
ビットコインは 17%
のCAGRだったとのこと。2021 年 11 月のETHと SOL の価格ピーク以降、毎月のアクティブな貢献者は、Ethereumで 9%、ソラナで 21% 減少。ビットコインの月間貢献者は、ビットコインが 10 月に最高値を付けて以来、8% 以上増加、とのこと。
加えて、VCからの投資額は前年よりも下落したそうですが、小さい額の投資は増加したといいます。
何が言いたいかといえば、暗号資産が値上がりしようと、下がろうと、開発者にはあまり関係なく、少なともビジネス的に将来的な展望を見据えて動いているところでは動いている、ということです。
その他大勢の注目が逸れている今こそ種まきをする時期なのかと思います。
2.Lido DAO approves treasury token sale to Dragonfly Capital after terms tweaked
Ethereum PoSのステーキングサービスを提供するLido FinanceのLido DAOにおいて、Dragonfly CapitalへのLDOトークン売却の投票が再投票の結果、満場一致で可決されました。
当初、トークンのロックアップ期間もなく、インサイダーが疑われるなどがありましたが、今回の改訂された提案は以下のようになりました。
LDOトークンの売却価格は2段階の設定があり、Dragonflyはどちらか高い方で購入する
二つの価格のうち高い方が2.25ドルを超えた場合はDragonflyは取引から降りることができる
LDOトークンの売却には一年間のロックアップ期間を設ける
以上です。
Lidoは、PoSETHのステーキングを行えるサービスで、ステークするともらえるstETHをさらに活用した運用が可能となることが魅力のリキッドステーキングという仕組みです。リキッドステーキングの中でも最大規模のものであると認識しています。
1度ステーキングすると、Mergeが完了するまでETHを引き出せないという条件があり、市況の不安、Mergeへの不安感によりstETHが売られて1ETHからデペグしたことが話題となっていました。
今回の投票可決で運営上の不安はとりあえず去った形です。もともとstETHは1ETHと交換できる引換券のようなものなので、裁定取引を考える人がでてもおかしくないのかな、と考えています。
3.Life for rent: How a new NFT token standard could create the next generation of landlords
レンタル出来るNFTの規格であるERC-4907が実装されれば、ゲームの自由度が上がって面白マーケットプレイス以外の選択肢が現れた気もするけど、マケプレ自体がレンタルのHubになるようなサービスを提供するようになると予想。レンタル期間は賃借料取るビジネスモデル。
Ethereum トークン標準の ERC-4907 は、6 月下旬に開発の最終段階に達し、レンタル可能な NFTが実装可能となる可能性があります。
たとえば、メタバースのような仮想空間上の土地をERC-4907によって発行したNFTであれば、土地をレンタル(賃貸借)するようなことができます。
ERC-4907 は、NFT 標準に新しい役割を追加し、NFT の所有者とユーザーを分割して、「レンタル」を可能にします。BAYCやCrypto Punksなどのほとんど有名なNFTは、ERC-721という規格基づいてミントされています。
たとえば、この規格に従ったNFTでは、Axieでゲームするためには自分のウォレットにAxieを実際にミントしているか、購入している必要があります。
ERC-4907の特徴は、所有者と使用者という概念が分かれていることです。これによって、あたかもデジタル資産を分割することができます。
また、所有者は使用者がレンタルしたNFTを使用できる時間パラメータを設定できます。その時間が終了すると、使用者のNFTを使用できなくなり、レンタルした所有元に使用権がもどります。
主なユースケースとしては、
Play to Earnなどのギルドで融通する
イベントのために自分の土地を貸し出す
などが想定されています。
既存のビジネスモデルとして、賃貸借契約を結ぶような取引であれば今回の規格を活用することでスマートコントラクトによって処理させることが可能になります。
4.Moonbirds ruffles some holders' feathers with abrupt copyright switch
Moonbirds のチームは、コレクションとその姉妹プロジェクトである Oddities が、CC0であるパブリック ドメインの使用モデルに切り替えることを発表しました。
Moonbirdsは以前のこのニュースレターでも紹介させていただいたのですが、突如現れ高額取引されるNFTコレクションという認知が広がりました。
つまり、Moonbirdsに関連するアート作品は、現在パブリック ドメインにあり、所有者の同意なしに自由に配布、拡張、商品化することができますNounsと同じ感じですね。
ところが、CC0になることを望んでいない所有者もいます。彼らはMoonbirdsを使ったブランドを立ち上げようとしていたようです。
法律上はMoonbirdsのチームは知的財産権を持っているので放棄も可能との弁護士の見解もあるようですが、著作権放棄の前に所有者に通知せず決定を行うのは、購入者の利益を毀損する行為ではないのかという意見もあります。
Nounsのような状態をMoonbirdsが目指すように見えますが、コントラクトが中心にいるNounsとチームが中心にいるMoonbirdsではかなり思想の異なる組織に見えてしまいます。
3. 読者のコーナー
読者からのコメントを紹介していきます。ぜひアウトプットや交流にお役立てください。
なお、HashHubに寄稿させていただいたzkEVMの記事にも多数のコメントをいただきましたので、こちらで紹介させていただきます!
最後までお読みいただきありがとうございました。
HashHubの記事寄稿をさせてただき、現状2記事あります。今週の土曜日に3本目が上がる予定です。アップデートがされ、記事の公開者の名前をクリックすると飛べるようになったので、ぜひよろしければ検索してお読みいただけたら嬉しい限りです。
→LawrenceのHashHub Researchの記事を検索する
しばらくは記事の寄稿に力を入れていくのですが、このニュースレターの質も一緒に向上できるよう精進いたします。
引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、また。
Substackが音声に力を入れているようです。
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