今日のニュースレターは、クリプトとAIの融合に関して、現時点で語られている技術について解説する。
元BitMEXのCEOアーサーヘイズ氏が、将来AIがBitcoinを通貨として選び利用されるようになるのではないか、という記事を投稿して話題になっている。
その内容を紹介したツイートにも非常に反響があり、「クリプトとAI」は非常に興味がある人が多い分野なのだと認識することができた。
しかし、本当に将来的にAIがクリプトを自律的に支払って処理を行っていく未来は来るのか?という疑問を持つ人も多いはず。今回はその疑問に対して、現状注目されいているテクノロジーを紹介する形で答えたいと思う。
それでは本日もよろしくお願いします。DIVE INTO CRYPTO!
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🧵Table of contents
アーサー・ヘイズ氏の記事の要約
オートエージェントAI
L402プロトコル
クリプトとAIの融合
アーサー・ヘイズ氏の記事の要約
発端となっているアーサー・ヘイズ氏の記事を要約すると内容は以下のようになる。
元BitMEXの共同創業者であるアーサー・ヘイズ氏が、Bitcoin がAIに選択される通貨となるという予測を主張
ヘイズ氏は、Bitcoin がデジタル化されており、分散化されている、エネルギーと直結した価値、証明可能な希少性、人間の管理を超越した持続性を有しているため、AIの要求を満たす通貨特性を有することを根拠にしている
BitcoinとAIのエネルギー消費については、密接な関連性があり、その理由はBitcoinもAIも高度な計算リソースと大量のエネルギーが必要であるという共通性から
AIがもしゴールド、法定通貨、Bitcoinから必要な通貨を選ぶ場合、検閲耐性、エネルギーという共通性、通貨の希少性、通貨の寿命という観点から、Bitcoinが選ばれるだろうという
近い将来、貨幣の乱発が起こり、その新たな資金がAIとロボット工学に投資されると予想し、ビットコインがAIに利用される可能性があると認識されれば、Bitcoinの価値が大幅に上昇すると考えている
成長投資のピークは2025年から2026年に起こると予想し、Bitcoinの価格は18%〜2,300%の増加を予測するマトリクス図を示し、1BTCが36,655〜760,591ドル(執筆時点のBTC価格:30,274ドル)になると予測した
より詳細に関する内容は元の記事で。
ヘイズ氏の主張したいことはなんとなく理解できると思う。しかし、じゃあどうやってAIがBitcoinを通貨として選択し、それが自立して回っていくのか?という疑問が現れるのではないかと思う。
以降は、その疑問に対する現時点でのテクノロジーのアプローチについて。
オートエージェントAI
オートエージェント型のAIというものが生まれている。
AIエージェントとも呼ばれるこのタイプのAIは、設定された目標を達成するために、設定環境と相互作用しながらプログラムを実行していく自立駆動型のAIだ。
たとえば、AutoGPTと呼ばれる物がある。目標となるタスクを与えるだけで、人間はその様子を眺めているだけでよいというもの。
以下のような駆動例が試されている。
以上のようなことを命令すれば処理が終わるまで自動で実行される仕組み。新たな状況に遭遇しても、その状況に適応し、コードのデバグ、APIの呼び出しなど様々なタスクをAIが実行していくものだ。
しかし、AIエージェントがどのようにしてリソースを準備しておくのか?という問題がある。人間のクレジットカードはずっと利用できる訳では無いし、人間による操作や許可が必要になってしまうケースがあり、AIによる処理の完結を妨げる場合がある。
そこで、AIによって自律的に暗号通貨をマネジメントできるようなプロトコルが必要になる。
以下、現時点で開発されているL402について紹介する。
L402プロトコル
L402プロトコルは、Bitcoin のレイヤー2として有名なLightning Networkの認証メカニズムであり、AIエージェントのタスク処理を簡素化するライブラリであるLangchainにもとづいて構成されている。
主な機能構成は以下になる。
LangChainBitcoin:LangchainエージェントがBitcoinとLightning Networkと直接対話できるようにするツール
OpenAI GPT関数呼び出し:大規模言語モデル(LLM)エージェントがBitcoinのバランスを保持し、Lightning上でBitcoinを送受信できるようにするツール
これらによれば、AIエージェントが、Bitcoin(satoshi)を使って、Webサイトへの課金を行ったりするなど直接支払いを実現することができる。
かんたんに言えば、AIエージェントが管理できる用のBitcoinウォレットのようなものになる。Aiエージェントが、Bitcoinを保有し、管理し、使用することができるようになれば、自律的な駆動も可能になる。
クリプトとAIの融合
まとめる。
自律的にAIが駆動していくモデルとして、AutoGPTなどが登場している。
ヘイズ氏の分析によれば、AIとBitcoinの親和性の高さによりBitcoinの採用が進む可能性があり、最も上振れすると1BTC 76万ドルとなると予想。
その駆動をさせる仕組みとしてLightning Networkのプロトコルを組み合わせてアセットマネジメントを指せるプロトコルが開発されている。
個人的な考察としては、Bitcoinだけが採用される訳ではないだろうと思う。もちろん、BitcoinとAIのシナジーの高さは理解できる。
しかし、より汎用的なAIによる自立駆動を目指すのであれば、Ethereumのスマートコントラクトとの相性も良いはず。
したがって、Bitcoinだけの採用がすすむというよりも、AIエージェントの技術が進むに連れて、より一層クリプトが持つ特性(検閲耐性、分散性、持続可能性)が重宝されるようになっていくはずだと考えられる。
AIエージェントの活用が社会的に不可欠な要素に組み込まれていくとすれば、法定通貨を信じて利用する意義はそのままに、クリプトの社会的需要も増していくのではないかと思う。
EthereumベースのオートエージェントAIの開発も今後活発になるのではないかと予想する。もしその分野に早めに飛び込むことができれば、”先行者優位”を得ることが可能かも知れない。
既にその変化の予兆は今まさに起きていることだと思うし、おそらくこの流れは不可逆なものだろう。そう考えると今後どうなるか、ワクワクするのではないだろうか。
本日は以上です。
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