このニュースレターでは、Web3に興味のある方、Web3関連の情報収集を効率化したい方に向け、話題のプロジェクトやトピックをやさしく解説していきます。毎週水曜日朝6時に配信しておりますので、情報収集にぜひお役立てください。クリプトを楽しみながら一緒に学習していきましょう。
今週のMain Topicでは、BitcoinのスケーラビリティソリューションであるLightning Network(以下、LN)の話題です。この記事の中では、Bitcoin=Bitcoinのネットワークを指し、BTC=アセットとしてのビットコインを指しています。
LNとは、BTCの送金を低Feeかつ高速に実現できる技術です。北米や中南米では店先でQRコードの読み取りをすれば、実際にBTC決済が可能な場合があります。
LNを使わないBitcoinの送金では、早くとも10分ほどの承認時間がかかり、手数料もばかになりません。頻度の少ない規模の大きな金額の移動であれば有用ですが、普段の支払い手段としては利便性が低いです。そのため、「BTCで決済」の利便性と普及にはLNが重要なファクターとなります。
今回はそんなLNをさらに使いやすくしたプロトコル「Taro(A Taproot Asset Representation Overlay)」について取り上げます。
1. Main Topic:Bitcoin上にステーブルコインを発行してLNで送金できるプロトコルTaro
前提
LightningNetworkとは
本題の前に、LNについて概要をまとめます。HashHub Researchに無料レポートがありましたのでそちらをご覧いただくのが確実だと思います。
参考:Lightning Network(ライトニングネットワーク)の概要・仕組みと近況
仕組みの概要を以下に引用します。
Bitcoinメインチェーン上でLN用のチャネルを開く(特別なトランザクションを生成する)
このチャネルは例えばアリスとボブの間で開かれる二者間のチャネル
チャネルには任意のBTCをデポジットする(例えば0.1BTC)
これがチャネルキャパシティとなり、アリスとボブの間ではこの0.1BTCを高速・安価にやり取りができる
2.チャネル内でのトランザクションのやり取りを行い、最新情報を記録していく
この時点ではメインチェーンにはデータの書き込みを行わず、利害関係者だけが保有している状態
特に資金の受け取り側は、トランザクションの最新情報を保持しておくことが重要(古いデータが利用されると、受け取ったはずの資金がなくなってしまう)
3.チャネルを閉じる(特別なトランザクションを生成する)
両者の合意と協力がある場合、スムーズにチャネルを閉じることが可能
片方の合意がない場合、待ち時間が発生する
上記のように、①開く、②使う、③閉じる、の3つがメインとなりますが、利用頻度が最も高いのは②で、①と③はチャネルの開閉時にしか使われません。そして、メインチェーンにデータが反映されるのも①と③だけ
過去にYouTubeで初心者向けの解説を試みたことがあります。もし興味のある方はご覧ください。
Taroとは
Taroを開発するLightning Labsは、Valor, Baillie Gifford, Goldcrest, Kingsway, Stillmark, Brevan Howard, NYDIG, M13, Craft,などからシリーズBで$70Mの資金調達を行いました。
Taroとは、Bitcoin上でステーブルコインなどのアセットを発行し、LNにより低手数料で、素早く、大量に決済できるプロトコルです。セキュリティや安定性は、Bitcoinのネットワークによる恩恵を受けられます。
Taroの仕組み
Taro は、既存のLNのBitcoinをバックボーンにして多様なアセットの送受信を可能にしています。既存の流動性を活かすことが可能なため、各アセットの送受信をするために新たなネットワーク(ルーティング)を立てる必要がありません。将来的にはアセットにステーブルコインだけでなく、NFTなども発行できる対象にすることを考えているようです。
以下の図は、Taroの転送例です。最初の送信者アリスが、最終受信者デイブに$10を送金するケースです。
ボブがキャロルとBTCチャネルしか持っていない場合でも、アリスは10ドルのL-USDをボブに送ることができます。ボブはBTCで少額のルーティングフィーを課し、10ドルのBTCをキャロルに転送します。
キャロルはL-USDで少額のルーティングフィーを課し、10ドルのL-USDを最終目的地のDaveに転送します。
Taroは、既存のBTCのみのライトニングネットワークとそのまま相互運用し、最初のホップと最後から2番目のホップにL-USDの流動性があることだけを要求しています。
この仕組みによれば、決済として使いやすい支払手段であるステーブルコインを利用しつつ、ビットコインが取引ネットワークの下支えとなることができ、BTCの流動性を向上させ、LNに貢献するインセンティブを与えることができます。
今回のMain Topicは以上です。
Web3 Topics
今週はニュースへのコメントは記載できておりませんが、気になるトピックをまとめておきました。興味のあるタイトルがあればぜひクリックしてご覧ください。
3. Weekly Podcasts
今日までに放送したポッドキャストをまとめてご紹介します。気になるタイトルがあればぜひクリックして聞いてみてください。
AxieのRonin bridgeでの不正流出を背景に、コミュニティとプロダクトの関係性はどうあるべきかをWeb3的に考察しています。興味のある方はぜひご覧ください。
参考:【Web3はスラムダンク🏀】コミュニティでプロダクトを所有することの現状と課題と解決策の考察
4. 読者のコーナー
前回の記事では、プロダクトDAOにおけるコミュニティのあり方について記事にまとめています。チェーンに乗っているプロダクト(プロジェクト)全体で勝ちにいく姿勢を週刊少年ジャンプに例えてみました。
株式会社とDAOは実現したいビジョンやフェーズによって使い分けるようなかたちが一般的になると個人的に考えています。長期的に資金を集めながら事業を展開するのは株式会社の方が向いていますし、短期的な目標であればDAOを組んで達成と共に解散ということもできるでしょう。
しかし、持続可能な運営などを目的とした永続的な仕組みについてはDAOが望ましい場合もあると思います。今ではDAOツールが開発され、ソフトウェアを使えばDAOのようなコミュニティを作ることができるようになっています。DAOと一口にいってもソーシャルなもの、プロトコル、プロダクトなどその在り方は複雑になっていることを認識し、それぞれの適切な組成を意識してDAOを構築することが必要になると思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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それでは、また。
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