このニュースレターでは、Web3に興味のある方、クリプトやNFTの情報収集を効率化したい方に向け、話題のプロジェクトやトピックをやさしく解説していきます。毎週水曜日朝6時に配信しておりますので、ぜひお役立てください。楽しみながら一緒に学習していきましょう。
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Lawrenceです。
今回はHiÐΞプロトコルを開発している株式会社和らしべCEOの井元さん(sushihiÐΞaki | warashibΞ.HiÐΞ)へのインタビュー回です。Web3経済圏を拡大させていく基盤としてあらゆるユーザーが「記事を書く・投げ銭をする」ことによりガバナンスを発揮できるDAO「メディアDAO」について、調査させていただきました。
本編はこちらよりご覧ください⚡️🎧
メディアDAOインタビュー: HiÐΞプロトコルにガバナンスを与えるDAOによるWeb3経済圏への招待
以下では、本編インタビュー、ホワイトペーパーから得た情報をもとに考察をまとめておきたいと思います。
■HiÐΞメディアDAO考察まとめ
メディアDAOの全体像が何となく分かってきたところで、「で、どうやって使っていけばこの仕組みをうまく使えるの?」という方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今回のインタビューやホワイトペーパーを読んで考察した個人的な所感や理解したことをまとめます。
□JPYDはHiÐΞプロトコルのGas
JPYDの発行タイミングは、投げ銭がキーになっています。たとえばライターの立場であれば、自分で設定したJPYDの還元手数料率(0.5~20%)と同額のAVPが記事に貯まっていきます。つまり、還元率を高く設定すれば多くのAVPを獲得できます。投げ銭をする投資家側も還元手数料が大きい記事へ投げ銭することでより多くのIVPを獲得できます。したがって、ライター・投資家どちらにとっても「還元率の高い記事」に対するインセンティブがあるということになります。一方、JPYDを入手するインセンティブはHiÐΞに記事を公開する、トピックを設定するといったプロトコルのガス代として色々な場面で消費需要があることです。そしてこのガス代は国庫の担保率に反比例します。
JPYCは自家型前払式なので使えませんが、将来的にJPYDをNFTマケプレや保有者限定のサービスを導入すればJPYDの需要が高まり流動性は安定的になるかもしれません。メルカリのようにJPYDを決済や交換にも利用できるとなれば、ブログで稼ぐ(クリエイター活動)と日常生活が高速で直結できるようになり既存の広告ASPやフリマアプリを駆逐していく可能性すら秘めていると思います。これは分散型経済圏の拡大へのステップのひとつです。HiÐΞはできるけどまだやっていないと理解しています。その裏側を支えるプロトコルのトークン設計が最も重要な基盤となるものであり、優先すべき事項だからです。ビジネス的な拡大と目先の利益に飛び付かず、将来的なWeb3経済圏の実現に向けた着実なPMFをしている点に魅力を感じます。
□フリー投稿できないのは参入障壁になるのか
これまで記事の投稿はフリーでできましたが、メディアDAOでは「記事の投稿=NFT化」となりJPYDを持っていないと記事の公開もできません。JPYDの手数料が実際どれくらいになるのかは国庫の担保率によるのでわかりませんが、これまでのスタイルからガラリと仕組みが変更となる部分だと思います。JPYDを入手するには「記事を書く・投げ銭をする」といったワンクッションがあるので新規参入障壁となる一方、記事の質をある程度担保できるのかも知れません。ただし、この前提には「HiÐΞで記事を投稿したい」という動機があってのものなので、手数料が煩わしければ別のサービスが選ばれることになるのかと思います。Discordでは、「仕組みを特に把握せずとも結果としてプロトコルのメリットを享受できるようにして欲しい」といった声もあることを鑑みるとプロトコルの報酬機能を理解して活動を持続的にするという目的よりも、おそらく現段階では「効率よくターゲットに情報発信できて注目を集めることができる」といった目的に重点を置いている人も少なくないと考えています。
ユーザーは記事の執筆に集中できて結果としてプロトコルからの利益を享受できるように「記事を書く・投げ銭をする」以外の複雑な部分はマスクすることがある程度必要です。知りたいと思った人が簡単にリーチできるまとまったドキュメントのみ残し、必要なUXだけを提供してあとはコミュニティ次第で変更できるというのがDappsの理想的な形だと思っています。
□コミュニティでメディアDAOを使っていくためには
コミュニティでメディアDAOを利用していく場合、どのような戦略でとればいいでしょうか。箇条書きとなりますが、以下にポイントを列挙していきたいと思います。
トピックの設定を1つに絞りTVPの帰属先を集中させる
TVPは記事のJPYD還元率に比例するので投げ銭を受けやすいように還元率は高めに設定する
バウンティボード(タスク表)を公開し、記事に応じた投げ銭金額を明示しておく
メンバーはコミュニティ側からの記事への投げ銭でAVPを獲得できプロトコル報酬も別途もらえる
メンバーそれぞれが自己実現を目指すだけで、コミュニティへの貢献になる=コミュニティの目標達成に近づくという仕組みを作ることができれば、メディアDAOを利用してコミュニティは持続的に成長できるはずです。
□メディアDAOのデータ
現在のメディアDAOのデータは以下のとおりです。(2022年3月21日時点)
まだJPYD総発行量は5,000円程度で、国庫のASTRも約400ASTR(4,000円くらい)ほど。金額としては極小ですが、これから記事が公開され投げ銭が多くなれば増加していきます。
国庫には、以下の2種類が入っています。
投げ銭還元量と同額の手数料ASTR
ASTRのDappステーキング利益
「(国庫ASTR+ステーキング利益)/JPYD発行量=国庫担保率」になります。報酬プールに金額が表示されるようになれば、この報酬をもらうインセンティブが強烈になるでしょう。
Dapp ステーキングは以下のようなイメージです。
こちらはAstr PortalというDappステーキングができる場所です。Dappとして、Dappステーキングがはじめられるのが500ASTRからなので、メディアDAOはもう少しでDappステーキングが開始できそうですね。APRは9%ほどと表示されています。この9%部分がメディアDAOのDappステーキング運用報酬となり、プロトコル報酬としてシーズンごとにHiÐΞユーザーのAVPに応じて分配されます。
□総括
メディアDAOにおける考察や情報を要約してまとめてみました。コミュニティの各メンバーは好きでもない情報を扱うことは全くありませんし、自分にとって合理的だと思う行動をとればOKです。個人の貢献がコミュニティの貢献になり、それがプロトコルに対する貢献となり、これに対する対価が「トークン設計」により用意されているから持続できる、それがメディアDAOなんだと思います。情報発信をとおして活動を広げていきたい方、コミュニティを持続的に運営する方法に悩んでいる方は、ぜひHiÐΞメディアDAOを試してみてはいかがでしょうか。
HiÐΞプロトコル基本情報
HiÐΞ classic:https://hide.ac/
HiÐΞ Rui:https://v2.hide.ac/
HiÐΞ Web3:https://web3.hide.ac
2. Web3 Topics
本日までに気になったWeb3トピックをピックアップしつつ、コメントをつけながら解説、紹介していきます。情報収取にお役立てください。
今週はAPE🐒の話題が多めです。
1. Yuga Labs acquires CryptoPunks and Meebits and gives commercial rights to the community
BAYCを運営しているYuga Labsが、Crypto PunksやMeebitsをLarva Labsから買収しました。Yuga Labsは、BAYCと同様にPunksやMeebitsの商用権をNFT保有者に渡すことを考えています。つまり、NFT保有者がPunksを利用したイベントの開催などが可能となります。
NFTはカルチャーとマッチングしやすいですが、そこを心得たチームによる大きなムーブメントが起きる予感を感じます。
2. Introducing ApeCoin ($APE), a token for culture, gaming, and commerce used to empower a decentralized community building at the forefront of web3. 🧵
BAYCのPunks買収で感じた予感は、「トークン発行」という形で現実になりました。BAYCは$APEというトークンを発行し、BAYC保有者などにトークンを配りました。このエアドロップは、過去のUniswapやENSなどのDeFi給付金を超え、最高金額のエアドロップとなったそうです。
トークンを発行したことでNT(ファンジブルトークン)を所持したユーザーで構成するDAOを構築し、さまざまなプロジェクトのガバナンスを進めていくことになると思います。ゲームなどエンタメ領域で存在感を出してきそうなイメージがYugaから発表されていましたので、こちらも注目でしょう。
3. What DAOs Can Do: $6.75M in Ethereum for Ukraine - Decrypt
ウクライナDAOは、ロシア侵攻への寄付としてウクライナへ5,700万ドルのETHを支援しました。このうち675万ドル分のETHはウクライナ国旗柄のイメージNFTの販売益も含まれています。
世界中で発足されているDAOには中央的なものもあり、段階的自律分散型であることがほとんどですが、暗号通貨の特徴である迅速な資金調達や透明性といった良い面が発揮されたのだと思います。
一方、暗号通貨はロシアの経済制裁回避に役立つといった報道がされ、ネガティヴ面での評価もあります。DAOの持つ、リーダーの不在、分権型の統治体制、トークンによるガバナンスといったファンクションをうまく使いこなせる(活かせる)領域を人類が模索していると考えると楽しみです。
4. VeryLongAnimalsの価格が16倍になるまでの歴史や買い方をベリーベリー詳細に解説!【NFT】
Twitterを眺めていたら話題になっているNFTプロジェクトがありました。突如価格がパンプしたこともあり注目あつめていたプロジェクトのようですが、なぜ盛り上がりを見せたのかに注目すれば、今後のNFTプロジェクトの立ち回り方も見えてくるかも知れません。
過程や詳細は記事をご覧いただくとして、結論は、以下のツイートに凝縮されている気がします。
日本からでもNFTプロジェクトは成功できる。売り方と作品の面白さなんだなと改めて実感しました。プロジェクトを立ち上げることは考えていませんが、マーケティングの参考になるのではと思い、紹介させていただきました。
3. Weekly Podcasts
今週までにお届けしたポッドキャストを紹介していきます。気になるテーマがありましたらぜひクリックして聞いてみてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
先週号は多忙のため配信できず申し訳ないです。リサーチは毎日しているのですが、記事にするとなると別の体力を使うので、時間の使い方をより洗練しなければと思った次第です。実は、一度書いた記事を没にして今回のニュースレターにまとまるといった経緯もあり大変難産となりました(笑)。2時間弱ある対談をインタビュー形式にまとめるのはとてもしんどかったのですが、日本のWeb3スタートアップの第一線でバリバリ経営されているSushiさんとお話ができてとても有意義な時間を過ごさせていただきました。
今年はこうしたインタビューや自分にできることを増やしていきたいと思っているところです。
それでは、また。
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