このニュースレターでは、クリプト関連の情報収集を効率化したい方に向け、話題のプロジェクトやトピックをやさしく解説しています。情報収集にぜひお役立てください。
おはようございます!本日もクリプトメルマガをお届けいたします。
2022年2月1日に始めたニュースレターですが無事に1周年を迎えることができました🎉 ニュース形式は多くの優秀なSubstackerの方が投稿し始めているため、ぼくのこのニュースレターでは、”ワントピック”で「ゆるく深堀りしたクリプトの面白いところ」をお届けしてみたいと思います。
クリプトニュースについてはNotionのデータベースを無料公開しています。こちらは毎日ぼくが「これは興味深い」と思ったニュースやコンテンツを入れておりますのでよろしければご活用ください!→ Lawrence’s Crypto Journal DB
♻️リステーキングによる新たな可能性 Eigen Layer
Eigen Layerがホワイトペーパーを公開しました。今回は、海外のクリプト(主にDeFi系)の方々に注目されているプロジェクトなので、その概要をゆるく深堀りしたいと思います。トークンエコノミクスは検討中かも知れないのでEigen Layerのトークン発行は発表されていませんが、ぼくは期待しています。
なお、有料となりますが2022年12月時点で情報でHashHub Researchでレポートを書いています。よろしければご活用ください。
インフラ系のプロジェクトなので少しイメージがわきにくいはずですが、チーターさんの分かりやすいまとめスレッドを参考になるべく分かりやすく解説してみます。
Eigen Layerとは
Eigen Layerとは、EthereumのバリデーターがEthereumにステーキングしたETHをさらにリステーキングすることを可能にし、Eigen Layerを通してEthereumのセキュリティを指定したミドルウェアに提供することができるプロトコルです。
バリデーターからすると、Ethereumへステーキングする報酬とは別に、リステーキングによるステーキング報酬を得ることができるため、ステーカーをより引きつけ、ETHの価値を上げることで、PoSネットワークのセキュリティ向上にも寄与することになります。
これだけでは非常に分かりにくいはずですので、Eigen Layerが解決する課題を理解していくことで、どのような可能性があるのかを見ていきましょう。
Eigen Layerが解決する課題
Eigen Layerは、Ethereumを土台にしていますので、Ethereumのコンセンサス形成方法であるProof of Stake(PoS)の仕組みと問題点を理解する必要があります。簡単にいえば、
PoSは、信頼をもたらすネットワークを作り出すことを目的に、バリデーターが一定以上の資産をネットワークに預け入れデータの検証にインセンティブと正しい行為がなされない場合のデメリットを課して経済合理性をインセンティブにコンセンサス形成を行う仕組みのこと
これはPoSのセキュリティがステーキングする資産の価値に依存するものです。ステーキングするトークンを簡単に買い集められるようであれば、そのネットワークの合意形成はすぐに集権化する可能性がある
PoSによって信頼が担保されるのは、トランザクションの順序付け・実行・検証を経たブロックのセキュリティです。そのため、オラクル、ブリッジ、サイドチェーンなどのミドルウェアにはEthの”セキュリティが及ばない”という課題があります。
以上の点が重要です。
例えば、Chainlinkはオラクルを提供することで有名ですが、オラクルの信頼できるネットワークを構築するために$LINKを導入し、独自に信頼を支えるためのネットワークを膨大な資本コストを支払って構築しています。(LINKの時価総額は$3,564,550,774)
このステーキングコストを維持することは簡単ではありません。具体的にはEthereumステーキングによる利回りよりも高いAPRを提示しなければステーキングする合理性がないからです。
Eigen layer では、Eigen layer のコントラクトにEthereumにステーキングしたETHをリステーキングすることで、Eigen layerを通してEthereumのセキュリティを指定したミドルウェアに提供することができるため、ミドルウェアであるオラクルやブリッジに対して、Ethereumのセキュリティを拡張させて適応できると言われます。
上図は左が従来の形態で、右がEigen Layerを用いた場合のアーキテクチャを示しています。
AVSはActively Validated Servicesの略で、原則的にDappsはAVSと称されるミドルウェアサービス(価格オラクル、トークンのブリッジサービス)を必要とします。単純なDEXではトークンの外部価格を参照しなければ市場価値を把握することができないのがその例です。
左の図ではEthereumが100億ドルの時価総額のETHでPoSセキュリティを維持しているが、各AVSは各々が10億ドルの時価総額のトークンでセキュリティを担保する必要があるという課題をはらんでいます。
そこで、右の図では、リステーキングされたEigen Layerが間に入り、各AVSは必要なセキュリティと検証サービスを受け取ることで、各々がセキュリティを担保する必要性を払拭することができるというわけです。
最終的なスタックは以下のようなイメージとなります。
既にEthereumにステーキングしているバリデーターは、リステーキングへのさらなる出資には基本的に限界的な資本コストが小さいため、セキュリティを保つための資本コストというこれまでプロジェクトが躍進するための大きな課題であった問題が解消される可能性があります。
これは、これから生まれる新たなプロジェクト全てに協力なサポーターとして機能するだけでなく、ETHをステーキングすることでさらなる報酬を得る機会を作り、ETHへの需要増加→価格上昇といった図式も考えられます。
懸念事項
リステーキングは、担保の再担保化といえます。つまり、EigenLayerには、担保再担保化や中央集権化によるリスクがあります。また、Restakerはスマートコントラクトの不具合やETHの価値低下による複合的なリスクに直面することになります。しかしながら、成功すれば、EigenLayerはEthereumのエコシステムを強化する新しいミドルウェア製品となる可能性があります。代替案としては、検証されたサービスを構築するか、Cosmos上でアプリ固有のチェーンを構築することができます。また、共有バリデータセットによるプーリングセキュリティもあります。
EigenLayerは、オープンなマーケットプレイスを作成し、自動的にバリデータセットを選択することで、より少ないオーバーヘッドで実験とローンチを行うことができる新しいミドルウェアです。リキッドステーカーが大部分を構成する可能性があり、委任の要件が追加されるとリスクが高まるため、リステイカーが参加するのを躊躇する可能性があります。また、中央集権化の懸念もあります。EigenLayerは、Ethereumエコシステムに影響を与える可能性がある新しいプリミティブであるため、セキュリティを保証しながら、ガバナンスと認可についても検討する必要があります。
Ethereumのコアプロトコルへの変更を加えるのは非常に長い期間の検討と実装が必要となります。Eigen Layerのように外部のプロトコルによって選択肢が提供されるのは望ましいアプローチとして今後評価されていくのではないかと思います。
今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございます。
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