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🤖 Research Summary
[Deep Dive]Ethereum's Pectra upgrade to raise max validator stake to between 32 and 2,048 ETH
Succinct raises $55M led by Paradigm to make zero-knowledge proofs accessible to any developer
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🫧 Deep Dive
Ethereum's Pectra upgrade to raise max validator stake to between 32 and 2,048 ETH
Ethereumの次の大きなアップグレードになるであろうPectraで、バリデーター(ビーコンノード)がステーキングできるETHを32から2048に拡大させるEIP-7251(increase max effective balance:通称MaxEB[マクセブ])が含まれることでEthereumのコンセンサスレイヤーの仕組みを決める会議で合意されました。
Pectraは、2024年の終わり頃に起動する予定です。
EIP-7251とは
EIP-7251は、Ethereumのバリデーターの最大効果的残高(MAX_EFFECTIVE_BALANCE)を引き上げることを提案しています。現在は32ETHに制限されています。ただし、バリデーターになるために必要な最低残高(MIN_ACTIVATION_BALANCE)は32ETHのままとします。
オンチェーンデータによると、現在およそ10万のバリデーターが存在し、ステーキングされているETHは約26%です。
直感的にはバリデーターを増やす方が分散化に寄与するからよさそうと感じますが、このままだと32ETH単位でステーキングするバリデーターが増加していくことになります。
やがて50%がステークされる頃にはバリデーターの数が増えすぎてビーコンチェーンが不安定になるほどの設計上対応困難になる懸念があるみたいです(コンセンサスの失敗の可能性増加、同期のレイテンシー遅延など)。
バリデーターの運用負担軽減、複利運用がしやすくなる
EIP-7251では、バリデーターは32ETHを超える任意の金額をステークできるようになります。これにより、バリデーターは報酬をすぐにステーキングに回すことができ、報酬がより速く複利で増えていくことが可能になります。
例えば、あるバリデーターが40ETHをステークしているとします。報酬が2ETH溜まったら、そのバリデーターはその2ETHを即座にステークに追加して、42ETHのバリデーターになることができます。そしてその42ETHが新たな報酬を生み出し、それがまたステークに追加されるという具合に、報酬の複利運用が可能になるのです。
あくまで32Ethを超えてステーキングできるだけでトークンエコノミーに変更は与えないので、プロトコルの複雑性を防ぐような設計になっています。バリデーターを複数運用するのはメンテナンスも必要なため負担が大きいですが、このEIPによってその負担も軽減されることになります。
これまでよりETHの利回り報酬は増える?
EIP-7251によってバリデーターが報酬を複利運用できるようになることで、プロトコルによるステーキングリワードの仕組みに変更はありませんが、バリデーターが受け取るETHの利回り報酬が増える可能性はあります。
ただし、実際の利回り報酬がどの程度増えるかは、バリデーターがどの程度積極的に報酬をステークに回すか、ネットワーク全体のステーキング参加率がどう変化するかなど、様々な要因に依存します。
また、利回り報酬の増加が必ずしもリテールユーザーに直接的に恩恵をもたらすとは限りません。バリデーターサービスを提供する企業(BinanceとかCoinbase)や組織(LST)が、増加した報酬の一部を手数料として徴収する可能性もあります。
考えられるリスク
EIP-7251では、大量のETHをステークしたバリデーターがスラッシングされた場合のリスクについても考慮されています。例えば1,000ETHをステーキングしているスーパーバリデーターがスラッシングされた場合、ネットワークに影響が出てしまうことがあるかも知れません。
現在は、スラッシングされたバリデーターは、その実効残高の1/32を初期ペナルティとして失いますが、EIP-7251ではこのペナルティの計算方法を変更し、実効残高に比例しないようにすることが検討されています。
ただし、この点はまだ議論中ですのでどうなるかは決まってません。
Aqua - Programmable Liquidity on All Networks
Aquaは、Nativeという会社が開発した新しいDEX向けのプロダクトです。
主な目的は、マーケットメーカー(MM)と呼ばれるプロの取引業者に、オンチェーンの信用ベースの取引を提供することです。これにより、以下の3つのメリットがもたらされます。
流動性提供者(個人投資家):持続可能な高利回りを得ることができる
個人トレーダー:より良い価格での取引が可能になる
マーケットメーカー:効率性と収益性が大幅に向上する
Aquaでは、MMがAquaの流動性プールにある資金を活用して、レバレッジ取引を行うことができます。個人投資家はこのプールに資金を提供することで、MMの取引手数料から得られる高い利回りを享受できます。
クレジットは、(すべてのショートポジションの時価評価額+資金調達手数料)-(すべてのロングポジションの時価評価額)で計算されます。
Aquaでは、オフチェーンとオンチェーンのデータを組み合わせてクレジットリスクを管理しています。
また、Compound等の実績あるプラットフォームと同様の清算メカニズムを採用し、PythNetworkやChainlinkといったオラクルを活用して公正な清算プロセスを確保しています。
Succinct raises $55M led by Paradigm to make zero-knowledge proofs accessible to any developer
Succinctは、ゼロ知識証明(ZKP)を開発者にとってよりアクセスしやすいものにすることを目的としたプロジェクトです。
ParadigmとRobot Ventures、Bankless Ventures、Geometry、ZK Validatorなどから5500万ドルの資金調達を行いました。
ZKPはブロックチェーンのスケーラビリティ、相互運用性、プライバシー保護に不可欠な技術ですが、現在のところ大半の開発者にとって扱いが複雑すぎるのが実情です。Succinctは自社開発のzkVMであるSP1と分散型のプルーバーネットワークを提供することで、このハードルを下げようとしています。
SP1はまだ開発中ですが、Succinct Prover Networkと呼ばれるホスティングインフラも併せて提供される予定です。これにより、オープンソースの証明システムの証明生成を外部に委託できるようになります。SP1を使用するアプリケーションは、ワンクリックでプログラムをネットワークにデプロイし、専門のプルーバーによって高速かつ安価な証明を生成できるようになります。
現在、Celestia、Wormhole、Lido、Avail、Near、Gnosisなどのチームが、SuccinctのインフラストラクチャーをZK対応アプリケーションの構築に活用しています。
本日は以上です。
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