こんにちは。Lawrenceです。
今週のニュースレターをお送りします。
1️⃣ Announcing Season 2 Stakedrop
Eigen Foundationは、EIGENトークンの第2シーズンのステークドロップを発表しました。このシーズンでは、ステーカーとオペレーターに約7,000万EIGEN(FDVの約4.2%)、エコシステムパートナーに最大1,000万EIGEN(約0.6%)、コミュニティに約600万EIGEN(約0.35%)が配布されます。スナップショットは2024年8月15日に取得され、クレームは9月17日まで可能です。
特に、LRTユーザーは専用のプロジェクトを通じて公平にリワードを受け取ることができます。EIGENトークンはEigenLayerエコシステムの成長を促進し、イノベーションを支える重要な役割を果たします。今後も新たなインセンティブプログラムを通じて、ステーカーやオペレーターに持続的な価値が提供され、エコシステム全体が強化される予定です。
Ethena Labsは、2024年9月2日に第2シーズンが終了したことを発表しました。このシーズン中、USDeの供給量は1.3億から3億へと急成長し、1億500万ドル以上の収益を上げました。また、5400万USDeがsUSDeステーキング契約の報酬として分配され、市場の大幅な変動にもかかわらず、プロトコルはデペグやリスクイベントを回避しました。第3シーズンの報酬は9月2日から自動的に開始され、9月9日にはclaim.ethena.fiで受け取れるENAトークンを確認し、9月30日までにクレーム可能です。
新たに導入されたsENAは流動性と譲渡性を持つステーキングトークンで、DeFiとの互換性を有し、最大40倍の報酬倍率が得られます。ロック済みのENAはsENAへ移行することで、今後の報酬を得ることができ、ベスティングやロックアップの要件はありません。
3️⃣ ApeChain Set to Launch with New Initiative BluePrint
Yuga Labsの共同創設者が、ApeCoinの新たなロードマップとBluePrintという新イニシアチブを発表しました。これは、BAYCに関連するコンシューマ向けアプリケーションを提供することを目指しています。
さらに、Yuga Labsの従業員が、EthereumのL2であるApeChainがまもなくローンチされると言っています。9月4日には、複数のBAYCホルダーやYuga従業員がXにApeChainのバナーを投稿し、ローンチが近いことを示唆しています。なお、ApeCoinトークンはピークから97%下落しています。
4️⃣ Synthetix Governance Epoch & An Introduction to SNAXchain
Synthetixは、新たなガバナンスエポックの開始と、OptimismのSuperchainインフラ上に構築されたアプリケーションチェーン「SNAXchain」のローンチを発表しました。SNAXchainは、Synthetixが他のチェーンやLayer 2ソリューションに拡大する中で、ガバナンスとプロトコル決定の中立的なハブとして機能します。
また、Conduitと提携してチェーンインフラを管理し、Wormholeを使用してSNAXchain、Optimism、Ethereumメインネット間のクロスチェーンメッセージングを実現します。ガバナンス選挙は2024年9月6日から開始され、9月16日に新しいエポックが正式にスタートします。
5️⃣ Matter Labs to cut 16% of workforce
Matter Labsは、ZKsyncの開発を行う企業として、従業員の16%、合計24名を削減すると発表しました。この削減は、創業6年で初めての人員削減であり、チームを「スリム化」して次のフェーズに進むための決定だとしています。
新たに参加した社長のナナ・ムルゲサン氏は、この措置は「財務状況が原因ではなく、次の段階で適切な役割を持つ必要がある」と述べています。同社は依然として戦略的採用を継続し、Elastic Chainの開発を進める計画です。
6️⃣ DeFi Protocol Penpie Exploited for $27M of Crypto Assets; PNP Token Craters 40%
DeFiプロトコルPenpieがハッカーにより約2,700万ドル相当の暗号資産を盗まれる攻撃を受けました。被害は、ステークされたETH、EthenaのsUSDE、ラップされたUSDCステーブルコインなどが含まれます。攻撃者は、盗まれた資産をETHに変換し、Li.fiを介して新しいアドレスに送金しました。PenpieのPNPトークンはこの攻撃で40%下落し、Pendle(PENDLE)も8%の下落を記録しました。
Pendleは、Penpieのプロトコルにセキュリティ上の脆弱性を確認し、投資家の資金は安全であると報告しましたが、予防措置としてすべてのコントラクトを一時停止しました。2023年には、DeFiプロトコルに対するハッキングや詐欺で約20億ドルが失われたと報告されています。
7️⃣ Anoma創業者、「ロールアップは「EVMのコピー」であり、真のスケーリングソリューションではない」
AnomaとNamadaの共同創設者であるエイドリアン・ブリンク氏は、ロールアップがイーサリアムのバーチャルマシン(EVM)に新たな機能をほとんど提供しておらず、実際にはスケーラビリティ問題に十分に対応していないと主張しています。ロールアップはメインチェーンにデータを使用量に応じて投稿するため、スケーラビリティに限界があり、データの保存場所が本質的に重要だとブリンク氏は指摘します。
一方、Plasmaは「ユーザーのスループットに関係なく」一定量のデータをメインチェーンに投稿できるため、スケーリングにおいて優れているとされています。Plasmaでは、データがオフチェーンに保存され、ロールアップのように全てのデータをメインチェーンに投稿する必要がないため、より効率的で現実的なスケーリングソリューションと認識されています。これにより、Plasmaは限られたリソースを最大限に活用できるため、長期的な解決策として期待されています。
さらに、ブリンク氏はロールアップが状態と流動性の断片化を引き起こし、ユーザーや開発者のエクスペリエンスに悪影響を与えていると指摘しています。彼は、この断片化がユーザーの採用を制限し、開発者にとっても障壁となっていると述べ、Plasmaがこうした課題を解決する手段であると強調しています。
8️⃣ Block-STM vs. Sealevel: 並列実行エンジンの比較
AptosのBlock-STMとSolanaのSealevelは、ブロックチェーン実行の並列化に対する異なるアプローチです。Block-STMは楽観的な並行制御(OCC)を使用し、トランザクションが競合しないことを前提としていますが、Sealevelは悲観的な並行制御(PCC)を採用し、競合を避けるためにロックベースの同期を行います。
Block-STMは競合解決に後処理を要しますが、より広範なユースケースに対応できる柔軟性を持ちます。一方、Sealevelは処理速度が優れており、特定のユースケースに特化していますが、事前にアクセスする状態を指定する必要があります。
この記事では、それぞれのアプローチの利点と欠点を低レベルで解析し、パフォーマンスとスケーラビリティを評価してます。
🫧 Deep Dive
EtherVistaの仕組み理解、Pump.funなどとの違い。流動性持続インセンティブを作るAMM
今回は、Ethereum上の新しいAMM「Ethervista」について、重要なポイントだけシンプルに解説してみたいと思います。
Ethervistaは、Pump.funなどのミームコインを簡単に発行できるプラットフォームとよく比較されますが、実は設計思想が大きく異なります。
Pump.funは短期的な投機に使われがちですが、Ethervistaは長期的な流動性の確保と持続的なインセンティブ設計を重視しています。
DeFiLamaでは、TVLが480万ドルほど預けられており、すでに取引手数料は高いときでデイリーで7万ドルほど生み出されています。長期的にはどうなるかわかりませんが、必要な点だけ理解しておくのは今後のトレンド理解の助けになると思ったのでシンプル解説してみます。
Ethervistaの概要
Ethervistaでは、以下のようなことができるAMM兼ローンチパッドです。
スワップ
流動性提供(LP)
トークン発行
レンディング、Perp、フラッシュローン(Coming soon)
ローンチされているトークン数は非常に少なく、VISTAトークンが最も取引量が多いです。
まず注目しておきたいのは、流動性を確保するための仕組みです。トークン発行者を含め流動性提供者は資金を引き出す際に5日間のロック期間が設けられています。
このロック期間は、Pumpfun流の詐欺的な「ラグプル」が通常2~4日以内に行われるという経験則に基づき、プロジェクトが急激に流動性を失うリスクを軽減しています。
Pumpfun流のラグプルは、普通のラグプルとは違い、公平に取引プールに参加する地位にありますが、悪意を持ってトークンプールを作成し、そのプールで一定の取引が生まれ奪い取るだけのトークンのバランスになったら、一気に高額なスワップを行ってプール内のペアになったETHなどを交換して持ち出すことを指してます。
このため、ロック期間があることで短期的な売り圧力がかかりにくく、プロジェクトが安定して成長する基盤が少しだけ整えられます。
それから、通常のAMMと同様にLPerへの取引手数料だけでなく、プロトコル手数料という仕組みがあります。主にこれを理解しておくことがEthervistaの理解に不可欠で、これ以外は特にまだ強力な訴求力を持たないAMMです。
手数料システムの重要性
Ethervistaの取引手数料は、固定額(例:10ドル相当のETH)またはパーセンテージ(例:0.3%)で設定でき、流動性提供者に分配されます。
これにより、トークンの価格変動に関係なく、流動性提供者は安定した収益を得られる仕組みが実現しています。
さらに、重要な要素としてプロトコル手数料があります。プロトコル手数料はプロジェクト開発者がトレジャリーのアドレスに設定すれば、トークンを自動的に買い上げたり、報酬を分配するために使用することができます。
このプロトコル手数料は、プロジェクトの成長を支援するコンポーザビリティのために利用される余地があります。たとえば、トークンの供給量を減らすためのバイバックに使ったりするなどです。
VISTAトークンとデフレモデル
Ethervistaのネイティブトークン$VISTAは、デフレ型トークンモデルを採用しています。各取引で手数料の一部が自動的にバーンされ、供給量が減少することでトークンの希少性が高まり、価格の上昇が見込まれます。
という説明ですが、価格は下落中。
リスクについて
もちろん、リスクも存在します。
たとえば、手数料設定が自由なため、流動性提供者に不利な条件を作成者が設定するリスクがあることや、流動性ロックが解除された後に大量の資金が引き出されるリスクも考慮すべきです。
プロトコル手数料の使途が不透明ですので、積極的に利用するのは危険なアーリーフェーズです。
考察
Ethervistaは、短期的な売り圧力を防ぎつつ、長期的な流動性確保に焦点を当てたプラットフォームです。
高額な固定手数料を設定して、プールされたETHを不正に抜き出せてしまうというバグもあるみたいなので利用は危険だと思います。
個人的にEthervistaの面白いところは、
トークン発行者だけが設けて終わるというミームコインナラティブを流動性の持続化という方向性に流れを変えようとしている点です(単にちょっとひねって儲けようとしてるだけかも知れませんが)。
この仕組みがうまくいくか本当にわかりませんが、こういった試みがでていることは嬉しいですし、興味深いです。
本日は以上です。
📜 Disclaimer
このニュースレターは、教育目的の情報提供を主旨としており、投資や金融、税に関するアドバイスではありません。ご自身での調査やデューデリジェンスが必要です。