Web3の最前線で活躍されている投資家やプロフェッショナルに、Lawrenceがインタビューを行う企画です。
今回のゲストは、Web3エンジニア・クリプトプロデューサーであるはやっちさんです。
これまでの活動や、今後注目していきたい領域など、インサイトに溢れるお話を伺いました。最前線で活躍するプロフェッショナルの思考を覗いてみましょう。
Interview
Lawrence: 本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。さっそくですが、はやっちさんの自己紹介と、これまでのご経歴についてお伺いしてもよろしいでしょうか?
はやっちさん: はい、こちらこそありがとうございます。はやっちと申します。クリプトに本格的に関わり始めたのは、2021年ごろですね。ちょうどイーロン・マスクがDOGEに注目し、クリプト業界全体が一気に盛り上がった時期です。
当時はイーサリアムやビットコインのトレードを楽しんでいただけでしたが、その後、NFT市場が急速に発展する中で、自分でもNFT関連の活動に積極的に参加するようになりました。
現在は、CryptoZenというWeb3システム開発、セキュリティコンサルティングやマーケティング支援を行う会社で働いてます。
Lawrence: 2021年はNFTが注目を集めた年でしたね。具体的にどのようなプロジェクトに関わっていたのか、詳しく教えていただけますか?
はやっちさん: はい、その頃は特にAzukiやCloneXといったプロジェクトが注目されていましたね。私は主にNFTのコミュニティ活動や、エンジニアとしての技術を活かして複数のNFTプロジェクトにおけるエンジニアとして参加していました。
NFTの価値は、コミュニティの熱量やナラティブによって大きく左右されることが多く、投資判断が非常に難しい時期でしたね。
Lawrence: 確かに、NFT市場は従来のクリプト市場とは異なり、判断が難しい部分がありますよね。はやっちさんは、どのようなことを意識していたのですか?
はやっちさん: 特定のKOLやコミュニティの影響力が非常に大きいと考えていました。
例えば、あるKOLがプロジェクトをプッシュ(Xなどで言及)すると、そのプロジェクトの価格が一気に上昇することがありました。
また、パブリックセールで早くミントできるためのBOTコントラクトを開発したり、ホワイトリストを取得するためにコミュニティとのコネクションを構築したりしました。これらの技術的な工夫やネットワーク作りが重要なアプローチだったと思います。
Lawrence: エンジニアリングのスキルが大いに役立っていたわけですね。では、NFT以外のクリプト投資についてもお話を伺いたいのですが、プレセールや資金調達ラウンドに参加された経験について教えていただけますか?
はやっちさん: はい、NFT市場が少し落ち着いてきた頃から、営業や紹介を通じてプライベートな資金調達ラウンドに参加するようになりました。資金調達ラウンドというのは、市場に公開される前のトークンを事前に購入できる機会のことです。
私が資金調達ラウンドに参加する際に重視していたのは、主に3つのポイントですね。まずそのトークンが将来的に成長する可能性があるかどうか、次に初期のバリエーションが適切に設定されているか、そしてTGE(トークンジェネレーションイベント)時にどれくらいの量がアンロックされるか、という3つのポイントです。
Lawrence: 具体的にはどのようなプロジェクトに投資されていたのでしょうか?また、その経験を通じてどのようなことを学ばれましたか?
はやっちさん: 特定のプロジェクト名は控えさせていただきますが、いくつかの有望なプロジェクトで日本や海外のマーケティング市場に関わることで得たコネクションを活かして参加しました。
プロジェクトとの接点は、WebXなどのオフラインのイベントが多いですね。私の活動を説明させてもらって、日本での活動に協力することを提案したりして交流を深める事が多いです。
プロジェクトへの技術的及びマーケティング的な貢献を通じて、KOLラウンドやプライベートラウンドにも参加しており、これらはプロジェクトがトークンを一般公開する直前に、特定のコミュニティや個人投資家に向けて行われることが多いです。ラウンドに参加することになれば、DocusignでSAFTで契約を行うような流れになります。
※SAFTとは、Simple Agreement for Future Tokenの略で、資金提供の対価として将来発行されるトークンを市場価格よりも割安で購入できる権利を得る契約です。Web3プロジェクトの一般的な資金調達方法になっています。
トークンの成長ポテンシャルを見極めることは難しいですが、有望なプロジェクトとのコネクションを作ることができるし、トークンからの利益を見込めるので良い経験になりました。
Lawrence: 非常に勉強になります。ラウンドに参加した際、どのようにして売却のタイミングを見極めていたのでしょうか?
はやっちさん: これはケースバイケースですが、一般的には最初にアンロックされたトークンを即座に売却するか、プロジェクトの成長を見越してホールドするかのどちらかになると思います。
特にここ最近のプロジェクトは、TGE後は価格が下がることが多いため、売却タイミングが非常に難しくなっています。
市場の状況やプロジェクトの進展次第で柔軟に対応することが重要だと思います。
Lawrence: 市場の動向を見極めつつ、柔軟に対応する必要があるんですね。では、今後はどのような分野に投資していきたいか、もしくは注力していきたいと考えていますか?
はやっちさん: 今後は、プロジェクトがどれだけ収益を上げられるかに注目していきたいですね。
例えば、無期限先物取引所のようなプロジェクトや、他にも安定した収益を生み出すプラットフォームがこれからのクリプト市場で重要になってくると考えています。なぜなら、収益性がトークンの価値を裏付ける根拠の一つとなり得ると考えるからです。
また、日本市場に興味を持つ海外プロジェクトが増えているので、そういったプロジェクトとの連携にも力を入れていきたいと思っています。
Lawrence: それは非常に興味深いですね。最後に、何か読者へ伝えたいことがあれば教えてください。
はやっちさん: 日本のWeb3プロジェクトにも積極的に関わり始めていて、CryptoZenというエンジニアリングやシステム開発を手掛けています。
もし、日本でWeb3プロジェクトを立ち上げたい方がいれば、ぜひご相談ください。複数のプロジェクトでの開発実績があり、技術協力や開発支援、マーケティング支援を行っています。よろしくお願いします。
Lawrence: 本日は貴重なお話をありがとうございました。
はやっちさん:ありがとうございました!
Deep Dive
SonyとスターテールラボのL2、Soneium
Sony Groupがスタートアップ企業Startale Labsとの共同事業を通じて、EthereumのLayer 2ブロックチェーン「Soneium」を発表しました。
このL2は、クリプトをメインストリーム(Go Mainstream)に押し上げるべく、ユーザーに対する使いやすさとスケーラビリティを重視して設計されており、Web3アプリケーションをさまざまな分野で展開することを目指しています。
Sonyの広範なWeb2のプレゼンスを活かし、エンターテインメント、ゲーム、金融など多岐にわたる分野での応用を計画しています。
ローンチパートナーは以下のとおりです。
Soneiumの概要
Soneiumは、Optimismの技術であるOP Stackを使用して構築されており、Ethereumの上に安価で迅速なトランザクションを提供することが可能です。
Optimistic Rollup技術を活用することで、トランザクション手数料を削減しつつ、高速な処理を実現しています。既存のWeb2のユーザー基盤を活かし、Web3への移行を支援する、とのこと。
ユニークな点は、Sonyが既存の事業(Sony Bank、Sony Music、Sony Picturesなど)とWeb3技術を統合する計画です。これにより、クリエイターとファンの間での公正な利益分配の新しいメカニズムを開発し、クリエイター生成コンテンツの権利保護を進めることが期待されています。
Startale LabsはAstar Networkからスピンオフした企業で、Sonyとの提携を通じて、Astar zkEVMの資産と基盤をSoneiumに統合し、ブロックチェーンの初期流動性を強化する計画です。Astar zkEVMの入金は停止され、移行サポートが行われます。
Astar zkEVMは、今回のOP stackとは別技術のPolygon CDKを利用して開発されていました。Polygonからは離れ、OP stackのエコシステムへピボットしたことを意味します。Astar zkEVMの狙いや背景については、以下の記事で解説しています。
Astar Network(L1)のASTRは、今後Soneiumエコシステム内の主要資産として、エコシステムプロジェクトでの役割を維持することに活用される見込み、とのこと。詳細は後日発表されます。
今後の予定
Soneiumのテストネットのローンチは間近に予定されており、技術的な詳細や開発者向けのプラットフォームツールの要件も近日中に公開される予定です。
初年度はWeb3技術に精通したユーザーのオンボーディングに注力し、その後、2年以内にSonyの製品群を統合し、さらに広範な企業やdAppの導入を目指します。
今回のような動きは、大手企業によるブロックチェーン技術への取り組みは、Web3の普及を加速させていく可能性があります。
感想
個人的には、CoinbaseのBaseのように大手企業のサービスをオンチェーンの特性を活かし、日本において普及させるような期待を持っています。おそらく、他の大手企業もL2を立ち上げて、2025年には競争が激しくなると思います。
Astar zkEVMからピボットしたことは、倫理的には非難されることが多いかも知れませんが、倫理的に正しいことが必ずしもクリプトをメインストリームまで押し上げるアプローチに繋がるとは限らないという考えを持っています。
しかしながら、
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