🌸Lens Protocolのレイヤー3 ”Momoka”とデータアベイラビリティレイヤー
分散型ソーシャルをアダプトさせるアーキテクチャ 2023-05-07 DIVE INTO CRYPTO - #64
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今回は、Lens Protocolのレイヤー3: Momokaとデータアベイラビリティレイヤーについて。
Twitterのスレッドでも概要を解説しているので参考まで。今回のサマリーはこちら。
Summary
Lens Protocolは、分散型SNSであり、NFTを用いてユーザーが作成したコンテンツをマネタイズしたりできるプラットフォーム
分散型SNSではフォロー・フォロワーの関係はオンチェーンに記録され、プラットフォームに関わらずユーザーにオーナシップがあるため引き継ぐことができる
データアベイラビリティレイヤーは、データの保管場所や利用方法を管理する層(ブロックチェーン)のこと
Momokaは、Lens ProtocolにおけるDAレイヤーであり、ブロック内のすべてのデータがネットワークに公開されたことを確認でき、オンチェーンに保存しがたい重いデータを軽量化し、データの有効性を保証するためだけのブロックチェーン
Momokaは、将来的にはネットワーク合意に基づいて取引が実行され、インセンティブやスラッシング機構が付加される予定
Lens Protocolと分散型ソーシャルネットワークの課題
Lens Protocolは分散型ソーシャルネットワークのインフラ部分として機能するプロトコル。これにより、ユーザーはデジタルアイデンティティやソーシャルグラフを自ら管理・制御できる。
Lens Protocolについては過去にこのニュースレターでも取り上げている。
つまり、Lens Protocolに記録した情報にオーナシップを持ち、フォロー・フォロワーの関係はソーシャルメディアプラットフォームを乗り換えたとしても維持されるようになる。これは既存のSNSの固定観念を壊すもので、おそらく未来の一部のSNSはこのような形式を持つのではないかと思う。
Lens Protocolは、11万6千人以上のユーザーを抱えている。現在、Lensのユーザーは340万以上のNFTのポストを作成・収集し、平均的なマネタイズプロファイルは約50ドルの有料コレクトを獲得している。
さらにLensは、NFTを利用して、ユーザーが作成したコンテンツをマネタイズできるようにしている。
しかし、ブロックチェーンのコストが多く発生するため、コンテンツ制作者は、コンテンツをトークン化するかどうかを慎重に判断する必要があるという課題があった。
Momokaでスケーラビリティを向上
Data Availability レイヤーとは、全ての情報をオンチェーンに保存することを防ぐ目的で利用される。コンテンツはデータが膨大なため、オンチェーンに保存しがたい。
そこで、コンテンツがいつでも利用可能であることと紐づくデータだけをオンチェーンに記録する。
Momokaは、PolygonのOptimistic L3スケーリング・ソリューションであり、Lensによる高いスケーラビリティを実現する。
Momokaはオープンソースであり、ノードオペレータがLensデータの有効性を常に証明できるようになっている。
ユーザーのデータプライバシーを確保
Lens Protocolは、データアベイラビリティレイヤーを使用してコストを削減し、データストレージに依存しないため、クラウドにコンテンツを転送してデータプライバシーを確保できる。
また、Bundlrは、Arweaveのスケーラビリティを可能にし、DAロジックを保存するためにEVM対応のウォレットを使用可能にすることで、投稿、コメント、いいね!などのLensネイティブなアクションを保存できるようにする。
分散型SNSの主な課題には、従来のソーシャルメディアと同じ用にUXがユーザーフレンドリーである必要がある。そして、分散型である意味としてユーザーが自分のコンテンツにオーナーシップとコントロールを実現することだ。
Momokaは、Lens Protocolにおける重要なDA(Data Availability)レイヤーとして、上記の課題にアプローチする。
しかし、DAレイヤーとは何なのか。ここを深堀りする。
DAレイヤーとは
ブロックチェーンにおけるデータアベイラビリティレイヤーは、単純に言えば、ブロックチェーンの中でのデータの保管場所や利用方法を管理する層のこと。
ブロックチェーンは、多くの分散型ノードによって管理される分散型データベースです。この分散型ネットワークにおいて、ブロックチェーン上に保存される情報は、ブロックと呼ばれるデータの集合体によって管理される。
しかし、ブロックチェーンの中には膨大な量のデータが保存されるとコストもかかるし、それを保存するために処理性能が落ちてしまう。
そこで、重いデータを簡単に参照できるようにするような軽量化したデータ(Data Availability Proof)だけをオンチェーンに保存するために、軽量化前のコンテンツのデータがちゃんと保存されていて利用可能であることを証明するためだけのブロックチェーンを用意する発想だ。
これが、データアベイラビリティレイヤーである。
データアベイラビリティレイヤーは、ブロックチェーン上に保存されたデータを簡単に参照できるようにする役割ということになる。
そもそもDAはなぜ必要?
ブロックチェーンのスケーラビリティにおいて、ノードがブロック内のすべてのデータがネットワークに公開されたことを確認する必要がある。
これが正しく行えないことをデータアベイラビリティプロブレム(データ可用性問題)という。これは、ブロック内に隠された悪意のあるトランザクションを検出するために重要。
Data Availability Proofを使用すると、クライアントはブロックの全データが公開されたことを、わずかな部分のデータをダウンロードすることで確認できる。この問題は、ブロックサイズの拡大、シャーディング、ロールアップなど、様々なブロックチェーンのスケーリング戦略において重要といわれる。
今回紹介しているのはほんの一部の事例であり、これがデータアベイラビリティの全てではないことに留意してほしい。データアベイラビリティには様々なアプローチがあり奥が深い。
HashHub Researchの記事になるが、Data Availability layerの代表的な存在であるCeletiaを解説している記事がある。この記事を読むとDAの具体的なアプローチが理解できる。
https://twitter.com/HashHubResearch/status/1549902029111558144?s=20
データアベイラビリティのより詳細については、Ethereumの公式サイトとAlchemyが参考になるのでおすすめ。
今後の予定
Momokaは、現在は記事の投稿、コメントなどの公開に限定されているが、将来的にはオンチェーンで保存した記事へのコメントを投稿する機能などをサポートする予定。
また、Momokaの取引は将来的にはネットワーク合意に基づいて実行され、インセンティブやスラッシング機構を付加される。これはLens Protocolのトークンをステーキングするのか、Maticをステーキングするのかは分からない。
Momokaは、汎用的なデータスケーリングソリューションとして設計されており、オープンソースソフトウェアとして、誰でも貢献し、改善に参加することができる。
筆者の考察
Lens Protocolは、独自のアーキテクチャを採用し、拡張性とコンポーザビリティを両立させている。このアーキテクチャは、他の分散型ソーシャルグラフプロトコルと比較して画期的である。
さらに、Lens Protocolは、決済プロダクト、NFTマーケットプレイス、DeFiなどのプロトコルと連携し、Web3ネイティブ機能を強化するインフラの側面として機能する。Momokaアーキテクチャは、競合他社と比較してユニークなソリューションを提供していると言える。
総合的に見ると、Lens Protocolは、革新的なアーキテクチャとWeb3ネイティブ機能の組み込みにより、分散型ソーシャルプラットフォームの発展を推進している。今後の展開が注目される。
さて、本日は以上です。
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読者のコーナー
https://twitter.com/MalionDiaz/status/1652539220928647168?s=20
ゲンスラーさんのETHの証券該当性に関する言及のオチ感…笑😂
https://twitter.com/saito_pickNEWS/status/1653601918760157185?s=20
MEVって難しいですよね…。あなたはどのレベルですか?
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