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Web3 Topics
今日までに、ぼくの目にとまったWeb3関連のトピックをジャンルごとに一覧で掲載します。
今週のフィーチャーとして、オンチェーン分析プラットフォームDuneの使い方を初心者向けにHashHub Researchで公開しています。無料レポートなのでぜひどうぞ!
💵 Fundings:
Web3 Security Firm Hypernative Secures $9M in Seed Funding
Hypernativeが900万ドルのシードで資金調達し、Boldstart VenturesとIBI Tech Fundがこのラウンドを主導し、Nexo、Blockdaemon、Borderless、Alchemy、CMT Digitalなどが追加投資で参加
今回の資金調達により、過去のデータベース、機械学習モデル、ヒューリスティックに基づき、発生する数分~数時間前に潜在的な事故を把握し、アラートを生成するサービスをさらに提供する
🏦 DeFi:
GMXが1日当たり手数料が最も支払われているプロジェクトとして躍り出る
Aave launches stablecoin $GHO on Goerli Testnet
⛓ Chains:
Helping secure BNB Chain through responsible disclosure
BNBビーコンチェーンで発見した脆弱性をJumpcryptoが発見し、非公開でBNBチェーンチームに通達し修正パッチを実行
攻撃者はBNBチェーン上の無数の任意のトークンをミントすることができ、大きな資金損失につながる可能性があったが未然に防がれた
🎟 Technologies:
The Block: New tool lets Tornado Cash users privately show their funds were not illicit
Chainwayは、Tornado Cashのユーザがデポジットした資金が盗難によるものではないことを証明するProof of innocenceを実現するツールを開発
これを利用すれば自分自信のウォレットアドレスを明かすことなく盗難による資産が含まれていないことを証明することができるようにデザインされているという
🧵 Tweets:
フォロワー9万8千人のNFT GODさんによるコンテンツの情報発信と改善のコツ
👔 Enterprises:
Amazon NFT Initiative Coming Soon: Exclusive - - Blockworks
アマゾンがNFT関連企業を立ち上げると、この件に詳しい4人の情報筋は、春にNFT構想が期待されると述べた。
NFTゲームイニシアチブを立ち上げ、ウェブホスティングプラットフォームであるAWSではなく、アマゾンの適切な部署から実現するとのこと。幹部はここ数カ月で少なくともこの計画について議論している
⚔️ Regulations:
米SECのクラーケン起訴をどう見るか、イーサリアムステーキングへの影響を考察
米国の暗号資産取引所クラーケンが提供するステーキングサービスは9日、SECに無登録証券として起訴された
クラーケンの摘発されたポイントの一つは、同社が最大年利21%もの報酬を謡いながら、報酬源に関する情報開示が不足していたことにある
弁護士のGabriel Sapiro氏が指摘したように、クラーケンのステーキングは本質的に利回り商品の提供であり、米国の別の取引所コインベースや分散型プロトコルLidoのステーキングの仲介サービスとは性質が異なるもの
📰 Readings:
教科書を書くときには「所有」という言葉は慎重に使ったほうが良く、民法上の所有権と解釈されるとNFTは有体物ではないので所有権はない
ノンカストディアルウォレット等で保管されたビットコインは「物権」なのか「債権」なのかというと、どちらでも無い。物権は有体物である必要があるし、債権は相手が必要。何も無いから盗んで良いとはならず電子的に価値があるものを盗んだ場合は、だいたい「私電磁的記録不正作出罪」で逮捕される
Main Topics: MEVとはなにか、概念と課題の整理と注目される理由
1. MEVとは
MEV:Maximal Extractable Value(最大抽出価値)とは、イーサリアムの保留中の取引プール(「メモリープール」)を分析し、有益な取引を見つけることによって得られる利益の一種です。
MEV最適化をする者は、他のトレーダーの利益を奪う戦略を頻繁に使用するため、当初はエコシステム全体の害悪とみなされていましたが、Flashbotsのような企業がより多くのステークホルダーにMEVの富を分配することに取り組んできました。
MEVの抽出がより公平になるにつれ、MEVは儲かる事業として成長し続け、MEVに特化した企業は、悪い市場環境にもかかわらず、依然として注目され、かつ資金調達を得ています。中でもFlashbotsは、The Merge後から存在感を強めており、Ethereumのブロックに記録される9割以上が、Flashbotsが開発するMEV-Boost(Flashbotsによるミドルウェアの一部)によるものされたこともあり、ブロックビルダーに予め作られたMEVを最適化したブロックの生成を可能にします。
参照記事:What Ethereum Tech Trends Are Weathering the Bear Market?
2. MEVのタイプと課題
MEV(MEV-Boost)が本質的に解決する問題は、フロントラニングやサンドイッチ攻撃などの悪意のある行為のリスクを軽減し、ユーザーに可能な限り公平性を担保することです。MEVには主に裁定取引(アービトラージ)によるものがほとんどで、低い価格の取引所でトークンを買い、高い価格の取引所で売るというトランザクションを一つのブロックに含めるように行動します。
フロントラニングとは、株式売買でも問題となるもので、例えば悪意ある証券会社が顧客の受けた注文よりも先に銘柄を購入することで有利な価格で買付を行うなどがあります。ブロックチェーンの場合は、未承認トランザクションがメモリープールにある間に、有益なトランザクションの情報察知して、トランザクションを模倣して先にトランザクションを実行します。
サンドイッチ攻撃はやや複雑です。フロントラニングで利益の出そうな取引を察知して、優先手数料を支払って悪意のあるものが先にトランザクションを実行してトークンを入手します。例えば、1ETHを2,000USDCで取引できるつもりだったがフロントラニングによって価格が変動し、1,999USDCしか飼えなくなったとする。これで1ETHを1,999USDCでSwapするとさらに価格が変動し1,990USDCになった場合、フロントラニング実行者は2,000USDCで1.1ETHで売ることができるため、フロントラニングの前後で比較すると0.1ETHの利益を上げることができるのです。実際これは少ない稼ぎの用に見えるかもしれませんが、2020年1月1日から2021年の12月31日の2年間でこれらのよって7億円以上の利益がもたらされたと言われています。
フロントラニングの実行者は、経済合理性に基づいた行動なのですが、元々取引を行おうとしていたユーザーは何も知らぬうちに最初から見えない損失を抱えた取引を実行させられることになります。これが問題であるといえます。MEVが悪いというわけではなく悪くないものもあります。つまり、構造上避けられないものであるということを強調しておきます。
とはいえ、フロントラニングを取り締まるのは、それこそ分権的な運営体制とはかけ離れた行為であることは言うまでもなく、一朝一夕の解決は難しいです。そこで、Flashbotsのようなサードパーティによるユーザー保護が模索されているのが現状です。
3. The Merge後からMEVがより注目された理由
The MergeによってEthereumがPoSに移行したが、これまでマイナーがメモリープールのトランザクションを処理して順番を決めていたが、新しくブロックビルダーという役割が登場することになります。ブロックビルダーがブロックに含めるトランザクションを整地して、最終的にブロック生成者へ送信されていく流れです。
ブロックビルダーは、各ブロックの価値(各トランザクション手数料+優先手数料の合計)が最も利益として高いブロックを構成したいと考えます。なぜなら、そのようなブロックはブロック生成者に優先して最初に承認されていくからです。MEV-Boostはこの利益を最適化しつつ、ユーザーの公平性を実現することが存在意義であり、ブロックビルダーはより利益を最適化する機会を得たことになります。なお、全てのブロック生成を機会均等にしようとするのは難しく経済合理性を保つことが分権的な運営体制を可能とします。そしてそれは大きな利益を生む可能性のあるビジネスとしても目されています。
また、OFACによってTornado Cashを利用した匿名化された取引を行うことを規制する動きがあり特定のトランザクションの検閲が行われていることが注目されました。つまり、OFACに準拠したトランザクションしか含めない場合と、そうでない場合が起こり、これはトランザクションの順序を決めるブロックビルダーに大きく関連します。
まとめると、ブロックビルダーの登場、利益を生むビジネスとしての認知拡大、OFAC規制などの要因が重なり、より注目が集まっていると考えられます。
今回は以上です。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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