LayerZeroのトークン、ZROのClaimにあたって寄付を募ったProof of Donationに批判の声があがりました。
私を含め、Proof of Donationに対して誤解している人もいらっしゃると思います。今回はProof of Donationとは何か、それを実現してるProtocol Guildとは何か。批判の背景を説明しつつ、Deep Diveしたいと思います。
結論からいえば、Proof of Donationは流行りそうな気がします。
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⛓️ Resources
Tether Announces Launch of Alloy by Tether: A New Digital Asset Backed by Tether Gold
Arbitrum's daily revenue soared to record $3.4 million amid LayerZero token claims
Pantera Capital is raising funds for second TON token investment
Verida raises $5 million to protect user data amid rise in generative AI
the next step forward in onchain governance: The Tally Protocol
introducing a new claiming mechanism called Proof-of-Donation
Modular blockchain Particle Network raises $15 million in token round
Farcasterにおいて、Channelごとにトークンをローンチできるようになりました。既に過去4日間で47のチャンネルが独自のトークンを発行しています。対応チェーンはBaseです。
また、1ヶ月前にはHypersubがチャンネルの収益化ができるように、サブスクリプショントークンを導入し、Farcaster上での収益化が容易になりつつあります。チャンネルサブスクリプションでは最初の2週間で9つのチャンネルが1,4Kドルの収益を生み出しているそうです。
Farcasterといえば、以前からDEGENなどのミームコインが流行し、アクティブなFarcasterユーザーにエアドロップされていました。次は、チャンネルトークンを発行できるFarterminalで新しい波が生まれるのではないか、期待しています。
Farcasterから生まれるチャンネルエコノミックレイヤーを盛り上げるためのTipsとしては、
ソーシャルスコアによってTierを導入し、メンバー自身がチャンネルに投稿、キュレーション、管理できるようにしリーダーボードで競争を促す
トークンの保有量やアクティビティによって階層を区別する
チャンネルの活動から収益が生まれるようにしてその収益を分配する
コミュニティ独自のマルチシグチャンネルウォレットを活用する
rounds.wtfなどのモデルを利用してチャンネル内での貢献に報酬を与える
などが説明されています。
これまでの投機的なエンゲージメントを肯定しつつも、コミュニティに価値を投下するユーザーの貢献に報酬を与え、より持続的なコミュニティの活動が支援できるようになるとされています。
チャンネルの作成は、Warpcastであれば左下の「Create a channel」から年間2,500wapsで可能です。詳しくはこちらのブログで。
Tether Announces Launch of Alloy by Tether: A New Digital Asset Backed by Tether Gold
テザー社が、ゴールドに裏付けされた新たなステーブルコインaUSDTをローンチしました。
aUSDTは、1米ドルに連動するように設計されていて、XAUT(テザー・ゴールド)によって過剰担保されています。XAUTは現物ゴールド(金)に裏付けされている金の価値に連動するトークン。
今回ローンチしたAllow by Tetherは、ユーザーが担保付きの合成デジタル資産を作成できるオープン・プラットフォームでという位置付け。
Arbitrum's daily revenue soared to record $3.4 million amid LayerZero token claims
6/20、クロスチェーンプロトコルのLayerZeroがトークンClaimイベントを行い、Arbitrumが1日あたりの収益がいつもは2万ドルほどのところ、3.4millinドルの収益を得たことが報じられました。
Arbitrumは、LayerZeroのメッセージングを必要とせず処理できるため他のチェーンではなく利用されました。その結果、一時的にメインネットのガス代を上回り中央値は0.01Gweiから34.7Gweiに高騰しました。
これらの原因は、LayerZeroがClaimの仕組みにProof of Donationを採用したからです。Arbitrumのガス代がスパイクしたのは表層的な現象にすぎません。LayerZeroに対してエアドロップファーマーなどから批判が起きており、どういうことになっているのかについては、後でDeep diveします。
Pantera Capital is raising funds for second TON token investment
ベンチャーキャピタルのPantera Capitalが、TONトークンへの投資を倍増させ、最低投資金額を25万ドルに設定し資金を集めファンドを立ち上げようとしています。
TONについては、NotcoinやHamster KombatなどのTelegramゲームミニアプリは急速にユーザーを獲得しており、Notcoinは5ヶ月で3500万人のプレイヤーを、Hamster Kombatは1億人のプレイヤーを達成したそうです。
さらなる資金投入の可能性を鑑みるに、TONエコシステムの成長はしばらく継続しそうな見込みです。
Verida raises $5 million to protect user data amid rise in generative AI
AIのモデルトレーニングに利用されるユーザーデータのコントロールを可能にしサポートすることを目的にしたVeridaが500万ドルのシードラウンドの資金調達を行いました。評価額は 5,000 万ドルに達しています。
ラウンドには、O-DE Capital Partners, ChaiTech Ventures, Simurg Labs, Gate Labs, HASH CIB, Bison Capital, Amesten Capital and Mysten Labs’ Evan Chengらが参加しています。500万ドルは、 Verida Storage Creditトークンのコミュニティ事前販売を通じても調達されています。
Veridaは、ユーザーが自分のデータを所有し、コントロールできるようにすることを目的とした、分散型データベースストレージネットワークです。
ユーザーは自身のデータをデジタルウォレットに保管し、必要に応じて第三者にアクセスを許可できます。データは暗号化され、ユーザーの同意がない限り他者に共有されません。
また、データの分散型ストレージインフラを提供し、ユーザーがどこにデータを保存するかを選択できるようにします。データは暗号化され、リアルタイムで同期され、プライバシーとセキュリティが保たれます。
Veridaは、DePINの仕組みを応用して自己主権型のプライベートデータストレージネットワークを提供します。ユーザーが自分のデータを完全に管理し、プライバシーを保護しながら利用することを可能にすることです。Veridaトークン(VDA)は、ネットワーク上でのデータ保存やインセンティブの提供を行います。
MetaやXでもユーザーデータを活用したAIのトレーニングを行う計画があることを発表しており、AI市場が成長するにつれ、言語学習モデルがユーザーのデータを利用することへの懸念も高まってくる可能性があります。こういったインフラの成長に投資が集まるのは理解しやすいです。
the next step forward in onchain governance: The Tally Protocol
オンチェーンガバナンスプラットフォームのTallyが、The Tally Protocolを発表しました。Tally Protocolは、DAOのトークン保有者が、Tally Liquid staked Tokens(tLST)を発行できるようにします。恐らく近日中に公開されると思われます。
これにより、投票権を維持しながら報酬を得る機会を解放することができるようになります。トークンをTally Protocolにステーキングしても投票権はアドレスに維持されます。また、ステーキングされたDAOトークン分の投票をDAOに返し、再分配を促すことも可能にします。
このような仕組み取ることで、投票権を維持したまま収益機会を創出できるだけでなく、休眠状態のDAOトークンによる投票権を再活性化を図ることができるようです。
Tally Protocolにより、トークン保有者はガバナンスと金融ユーティリティのどちらかを選択する必要がなくなります。
トークン保有者にステーキング報酬を得るためにアクティブな参加者に委任することを義務付ければ、投票権はアクティブな DAO投票者に残り、悪意のある攻撃に対するセキュリティが強化され、受動的なガバナンスが防止することも可能となります。
Modular blockchain Particle Network raises $15 million in token round
Particle NetworkがシリーズAラウンドで1500万ドルの資金を調達しました。Spartan GroupとGumi Cryptos Capitalがラウンドを共同で主導し、SevenX Ventures、Morningstar Ventures、Flow Traders、HashKey Capitalなども参加しました。
チェーン抽象化技術に焦点を当て、開発者とユーザーの体験を簡素化することを目指しいます。ユニバーサルアカウントと呼ばれる、アカウントを使用しユーザーは任意のチェーンのトランザクションを任意のトークンで支払えます。
ユーザーは、チェーン間のブリッジを手動で管理する必要がなくスムーズな体験が利用できます。技術としては、Cosomos SDKを使用して構築され、EVM互換性を持っています。競合としては、NEARのChain Abstraction、PolygonのAgglayerかと思います。
メインネットの立ち上げと同時にネイティブトークンのローンチも行わる予定です。エアドロップを狙う場合は、こちらのインバイトコードを利用すれば開始できます。
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🫧 Deep Dive
Proof of Donationに賛否、その理由は。
Resourcesの中で触れましたが、LayerZeroがProtocol Guildを利用してProof of Donationと呼ばれるメカニズムを採用したことで賛否両論が生まれています。
今回は、Protocol Guild(proof of donation)とは何か、どのような批判が起きているのか、ということを整理し、オピニオンをまとめたいと思います。
参考:ZRO Claim
現状のエアドロップの問題点
Uniswapが2020年以来、エアドロップメカニズムを浸透させてから、トークンを配布する主要な仕組みとなってきましたが、以下のような問題点があることが認識されています。
シビル攻撃を防ぐ必要性:エアドロップを受け取ることのみを目的にした複数アカウントで参加し、本来よりも多くのトークンを獲得することが増えた
エアドロップファーミング:単にトークンを得る目的だけでプロトコルを利用して渡り歩くユーザーが行うファーミング。公平な分配やコミュニティの構築などが損なわれてしまう
このような問題に具体的に解決策を示したいという考えから、今回のProtocol Guildの採用に至ったそうです。
LayerZeroのアプローチ
そのため、LayerZeroは「エアドロップ」という用語を使用せず、寄付したことをオンチェーンで証明させることでZROトークンを配布しました。
Protocol Guild (PG) は、EthereumのL1研究開発 (R&D) に経済的に合理的な貢献を促すための共同資金調達メカニズムです。
コントラクトの仕組みは、以下のような骨子となっています。
どのプロジェクトの貢献者が資金の一部を受け取る資格があるかを決定する
登録されたメンバーのアドレスと重み付けを定期的にオンチェーンで公開する
資金は4年間のベスティング期間を経てスプリットコントラクトに蓄積され、メンバーはそこから資金を請求できる
資金を適格なプロジェクトに提供するコントラクト
PGはこれらのコンポーネントの管理と、適格な作業を支援するための資金調達を行う
Protocol Guildの採用理由と背景としては、Protocol GuildとEthereumのコア開発者は、LayerZeroの成長に必要不可欠であること、EVM EthereumのL2セントリックのロードマップを推進してきたことに報いるため、とされています。
つまり、ZROをClaimする際の寄付を通じてユーザーは、Ethereumの研究開発を支援することができるのです。
LayerZeroのエアドロップに対する批判
LayerZeroのエアドロップに対する批判は、その実質がトークンセールのIDOと見なされる点に集中している気がします。具体的には、ユーザーはZROトークンを請求する際に、1ZROトークンにつき0.1ドルの寄付を求めらたからです。
この結果、LayerZeroは1,850万ドルを集め、そのうちLayerZero Foundationが最大1,000万ドルをProtocol Guildに寄付します。つまり、850万ドルはLayerZero Foundationの手元に残ります。
この寄付のプロセスにより、ユーザーからヘイトを買い、「こんなの実質IDOじゃん」といった批判が出たのだと思います。エアドロップの割当が当初の予定よりも大幅に減少したこと、また上位のユーザーでさえ割当が少ないことから、不満の声が上がってるようです。
Proof of Donationは、IDO以上の意味を持つ
しかし、LayerZeroが行ったことは単なるIDO以上の意味を持ってると思います。
それは、Protocol Guildの仕組みを知ればわかるように、今後のエコシステムの発展にとって重用な役割を担う開発者に持続的な活動を動機づける資金源となるからです。Ethereumだけではありません。LayerZero LabsやFoundationにとって必要な開発資金なのです。
これは、LayerZeroだけでなく、Ethereumのコミュニティを含めた持続的な成長を目指すものであり、単なるトークンセールに留まりません。
個人的に、エアドロップファーミングのみを目的にしたアクティビティには、短期的な快楽のみを過度に追求しすぎていると感じることがあります。
もちろん、投機や儲けることができる可能性は燃料のようなものなので必要です。
ただし、そのエネルギーを過剰に注ぎ込まれれば、次第に本来自分たちが得られるはずだった将来の利益も食いつぶしてしまう可能性があることを認識することが必要だと思います。
エアドロップで儲けることができるのは、開発者の努力によるものであり、彼らに対する敬意を忘れてはならないと思うのです。
本日は以上です。
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