今週のニュースレターでは、ビルの屋上などの低空領域をRWAのトークン化とトレードプラットフォームを提供するプロジェクトや、Ethereumのアップグレードに関して開発者会議が難航している理由などを解説しています。
また、レイヤー3の話題が増加していますが、彼らはどのような目的で立ち上げられるのか?収益性は高いのか、低いのか?本当に持続的なのか?このような疑問に現状理解を深めるための参考記事も紹介しています。
Deep Diveでは、初期流通量が少なく評価額が過剰に高いトークンの蔓延に関連する問題、今後のトークンの大量アンロックによる売り圧力の強まりという構造的問題を起点に、ミームコイン台頭の意外な理由と解釈について深堀りします。
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⛓️ Resources
Telegram introduces store for mini apps as games like Hamster Kombat take off
Castle Island Ventures and RW3 Ventures lead $4 million seed round for web3 cloud firm Nirvana Labs
Five spot Ethereum ETFs, including Fidelity, will launch on July 23, exchange Cboe says in notices
Ethereum client team throws down the gauntlet on EVM upgrade
Henez is a modular network designed to create an Omnichain universe
Save the Date: MATIC → POL Migration Coming September 4th. Everything You Need to Know
Allium - we’ve raised $16.5M in our Series A, bringing our total to $21.5M
1️⃣ SkyTrade - Monetize And trade airspace.
ビルの屋上など、空間領域をRWAとしてトークン化して取引可能にするSkyTradeがプレシードラウンドの資金調達を発表しました。調達額は不明で、Modular Capital、Portal Ventures、Solana Foundationらが参加しています。
土地所有者として、空域をSkyTradeに申請すれば、収益を得られるようなシステムで1立法フィート(0.0283立方メートル、あるいは28.3リットル)あたり400ドル以上になることもあると公式サイトに記載されています。
空域を売買する目的は、都市開発や建設工程の促進に利用されたり、単純にアイドル資産の有効活用だといいます。また、ドローンは空域の権利がなければ利用に制限がありますが、SkyTradeで空域を利用できる権利を購入すれば実質的にドローンの利用が行えるようになるとのことです。賃貸もできるようです。
投資家のポートフォリオとしても、空域によって収益を出せるなら土地所有者にとっても望ましいことなのかも知れません。日本での普及イメージはありませんが、新しいビジネスの動きだと感じます。
2️⃣ Telegram introduces store for mini apps as games like Hamster Kombat take off
TelegramのCEOパベル氏が、Telegram内のブラウザでブロックチェーンアプリケーションのサポートとアプリストアを導入する計画を発表しました。
Telegramといえば、TONのブロックチェーンゲームが話題です。主にNotcoin、Hamster Kombatなどが有名です。計画では、悪質なスキャムの取り締まりも同時に強化していくことが述べられています。
分散型マーケットプレイスも構築していくことを明らかにしており、Telegramでのブロックチェーンアクティビティは今後も上昇していく可能性が高いと思います。
3️⃣ Castle Island Ventures and RW3 Ventures lead $4 million seed round for web3 cloud firm Nirvana Labs
ブロックチェーン用のクラウドインフラストラクチャサービスを提供するNirvana Labsが400万ドルを調達したと発表しました。
サービスの内容としては、Blockchain as a Servicesのような構成でAlchemyやInfraなどが競合になります。
公式サイトでは、低レイテンシが強調されており、特定の環境下でのパフォーマンスをアピールしていました。
Nirvana Cloudでは、ルーティングの合理化やCPU・RAMのスケーラビリティの高さが説明されています。
特に興味深いのは、分散的な透明性が高く、オープンなガバナンスモデルを確立していくことが計画されている点です。
エンタープライズとの相性はあまり良くなさそうですが、ステークホルダーの調整がうまくいけばブロックチェーンインフラの分散化という観点からもエコシステムに貢献することができます。
なぜなら、ブロックチェーンアプリやインフラサービスの一部には、AWSやGoogle Cloudなどのサービスを利用しているため真に分散性を実現することができない場合があったからです。
4️⃣ Five spot Ethereum ETFs, including Fidelity, will launch on July 23, exchange Cboe says in notices
Cboeという米国シカゴの取引所が、EthereumのスポットETFが、7月23日に取引所に一斉に上場すると発表しました。
各社は米国SECからフォームの承認を受けており、修正された届出書には手数料が記載されていたそうです。なかでもFedelityは手数料を0.25%に設定し2024年末まではゼロにするとしています。どこの取引所も来年1月か、数十〜百億ドルの規模までは手数料をゼロにするとしています。
ETFによる資金流入は期待したいところですが、リキッドステーキングの方が資本効率もよく、現物を投資する投資家や機関投資家がビットコインETFほどになるかどうか、といった疑問はあります。
5️⃣ Ethereum client team throws down the gauntlet on EVM upgrade
最近のEthereum開発者会議で、次に行われる大きなアップグレードであるPectraにEOF(Ethereum オブジェクティブフォーマット:プロトコルの仕様変更)関連のEIPを含めることを反対する声が上がっています。
詳細な内容は省きますが、今回のEOFではEVMのレガシーな仕様を変更するため、予期せぬ不具合のリスクが高すぎると主張されています。偶発的に非互換性が生じしてしまう危険性を排除したいという趣旨になります。
否定派よりも賛成派が多いようにみえますが、会議は難航しているようですので、Pectraの導入時期も当分先になりそうな気がしています。
6️⃣ Henez is a modular network designed to create an Omnichain universe
CalderaというRaaSとArbitrum Orbitで開発されたL3のHenezが公開されました。サポートされたチェーン同士を抽象化し、インターオペラビリティを実現します。競合としては、最近トークンを出したzkLinkなどが該当すると思われます。
テックには、Hyperlaneが利用されており、DAはCelestiaです。
Galxeのキャンペーンが始まっていますので、zkLinkのようなポジションのエアドロップオポチュニティを検討している方は、参加しても良いかも知れません。
ちなみに、HyperlaneはEigenLayerのAVSで、ノードの検証にはEigenLayerのオペレーターによる検証が行われます。
レイヤー3のエコノミクス分析
L3の存在意義については、まだハッキリとした意見を持っていませんが、現在は模索期な気がしており、以下の記事が参考になりました。👇
要約すると、
L3は取引手数料を大幅に削減できるが、これが経済的持続可能性の課題があり、たとえば、L2のような取引量がなければシーケンサー手数料だけでは収益を上げられない
L3の手数料がL2の10分の1以下の場合、現状の環境下では月間5000万件以上の取引がないと利益を出せない見込みだが、これはL3にとって現実的ではない。そのため、短期的には「コストセンター」として捉えられている
一方で、長期的に価値のあるネットワークを構築するための投資と見なすこともでき、カスタムガストークンやネットワーク手数料の設定により、エコシステムの成長を管理する手段となり得る
ゲームなどに特化したユースケースなど、柔軟性の高いユースケースを発展させるプレイグラウンドのようなポジションもあり得る気がしています。
7️⃣ Save the Date: MATIC → POL Migration Coming September 4th. Everything You Need to Know
PolygonのネイティブトークンMATICがPOLに9月から変更されるアナウンスがありました。
Polygon上にあるMaticであれば特に何もする必要はないですが、Ethereum上のMaticはマイグレーションの必要があるみたいです。色々なマイグレーションが必要なケースが必要とされていますが、基本的な投資家は特にやることがない仕様です。
POLの価格はこのアナウンスで特に急激な変化はないため、今後の仕様発表などに注目しておきたいです。マイグレーションの状況は、こちらのDuneで見ることができます。
8️⃣ Allium - we’ve raised $16.5M in our Series A, bringing our total to $21.5M
Allium社は、Theory Venturesが主導するシリーズAラウンドで1,650万ドルを調達し、総額2,150万ドルの資金を集めたことを発表しました。
Alliumは、ブロックチェーンがデータの記録に優れているが、データの読み取りや分析が容易でないことに着目しており、異なるブロックチェーン間でのデータ形式の違いや、大量のデータの効率的な処理などを解消しようとするプロジェクトです。
具体的には、40以上のブロックチェーンからデータを収集し、標準化された形式で提供し、SQLクエリを用いて分析を可能にするサービスを提供しています。加えて、機械学習などを活用した高度分析も提供しているようです。
Duneのように、オープンにダッシュボードを公開するようなプラットフォームではありませんが、競合にあたると思われます。
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🫧 Deep Dive
暗号資産市場の歪みと構造的問題、ミームコイン台頭の意外な要因とは?
Binance Researchによる現在の暗号資産市場の現状を理解するためのフレームワーク、CPT(Capital - People - Technology)が提案されたレポートが出ていました。以下のリンクから無料で読めます👇
What's Driving the Crypto Market? Introducing Our CPT Framework.
全体的に暗号資産市場の現状、資金循環のイン・アウトフローを理解するに適しており、市場の歪みと構造的問題を理解するのに有益なインサイトがありました。
重要な箇所のみ、AIをかけて要約します。
市場動向:
2024年前半、暗号資産市場は強気相場から停滞期へ
6月の総時価総額は前月比11.4%減、3月のピークから14.0%下落
主な停滞・相場下落要因:
Mt. Gox債権者への返済開始(約14万BTC)
ドイツ政府による大量売却(5万BTC)
米国政府の一部売却(3,940BTC)
構造的課題:
新規資金流入の停滞(ステーブルコイン時価総額横ばい、資金調達額減少)
トークン経済の問題(低流通量・高評価額、今後の大量アンロック予定)
分析フレームワーク(CPT)の意味合い:
Capital:資金流入、マクロ経済環境
People:市場参加者の行動
Technology:技術革新、開発動向
このレポートの分析フレームワークは確かにわかりやすいと思いますが、注目すべきは論点です。
印象的なのは、初期流通量が少なく評価額が高いトークンの蔓延に関連する問題、今後のトークンの大量アンロックによる売り圧力の強まりです。
これは、暗号資産市場の構造的問題ともいえますので、少し詳しく見ていきましょう。
さらに、意外な観点から、ミームコイン台頭の要因にも触れたいと思います。この観点は、ぼくの理解にはなかったので非常に興味深かったです。
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