前回投稿したCurveリエントランシーショックをまとめた記事が好評でした。
現在のCurveリエントランシーショックの状況をまとめると、
Curveプールのエクスプロイターが資金返済を条件に報酬を要求しており交渉中
CurveファウンダーのMichは様々なDAOやユーザーとOTCでCRVを売却し、Aave、Fraxlend、Inverse、Abracadabraでのローンを返済した
Aave(link)、Frax Finance(link)はDAO投票でCRVを購入することを提案しCurve warでの優位性を獲得しようとしている
参考:How DeFi users are navigating post-Curve exploit landscape
ここまでのCurveハッキングの経緯について網羅的にまとめているので、まだキャッチアップできていない方はぜひご一読いただけますと嬉しいです。
今回はもう一つ市場に対して、大きな懸念が浮上している件について解説する。
それは、stUSDT、Houbi(取引所)、ジャスティン・サンに関連する疑念がX(Twitter)上で囁かれていることだ。
この問題はまだ可能性レベルであり、事実でない可能性があることを念頭においてほしい。しかし、事実であればクリプト市場全体に大きな影響をもたらすことは確実。
現時点で状況を抑えておくべきであることは間違いない。
🧵Contents
USDTが大量に売却されている
Adam Cochran氏が指摘する疑念
個人的な意見と所感
このニュースレターでは、個人投資家、起業家向けに暗号資産・ブロックチェーンを中心に筆者独自のインサイトを提供しています。読者の経済的自由とビジネス上の優位性のサポートを目指しています。興味がある方はぜひ購読をお願いします。
USDTが大量に売却されている
現状、USDTはCurveやUniswapで交換され続け、USDTが売られる不均衡状態が起きている。
以下は、Curveの3poolでUSDT残高。USDTが63%になっている。
こうした不均衡は、2022年に起きたTerraの崩壊や、シリコンバレーバンク危機のUSDCにも起こった現象。
この状況を受けてテザーのCTOは、以下のようなツイートを投稿。USDTが売り圧力を不自然に受けていることに言及している。
この投稿で競合を示唆しているのはBinanceのFDUSDの可能性が高い。
参考:Traders Ditch USDT on Curve, Uniswap, Pushing Key Exchange Pools Into Imbalance
Adam Cochran氏が指摘する疑念
しかし、一方でこれはBinanceによる競争排除が根本的な背景ではないとする意見がある。
これは、Adam Cochran氏の分析スレッドが示唆するものだ。
結論としては、「Houbiが債務超過で破綻するのではないか」という懸念をUSDTの売り、ジャスティン・サンの関わるstUSDTを調査することで裏付けている。
以下スレッドの要点を引用する。
BinanceはFTX事件の教訓としてインサイダー情報がコネクションとともに問題を最初に知ることが多い。
USDTの売りタイムスタンプでは、Houbiのスタッフが逮捕された疑惑が報道されたであろう時間のすぐ後からだったことをAdamは指摘している。
そして、ジャスティン・サンがローンチした"stUSDT"に関する疑念が浮上しており、実際の資産とユーザーが認識している残高に大きなギャップがある可能性に言及。
stUSDTはサイトで4.29%の利回りをアピールしており、35,000人以上のステーカーが参加していることを公表している。
しかし、Tron自身のチェーンによると、トークンの98%はSunかHuobiが直接保有しており、USDTをstUSDTに「ステーク」するとHuobiの入金アドレスに振り込まれる。
もしstUSDTが本当なら、Tron上のHuobiアドレスから$500Mの償還があり、利回りのために債券を買うことができる。 しかし、そのような償還は存在しない。ミントのプロキシはメインのアドレスに送信している、という。
さらに、その多くがジャスティン自身のJustlendのようなDeFiポジションに流れていることだとしている。
Huobiのユーザーは約$631MのUSDTを保有していると考えているが、実際には$90Mしかない。
だからBinanceは、HuobiとTronの問題を知った後、リスクを軽減するためにUSDTを大量に売却しているのではないか、というロジックである。
つまり、Poloniexの事件と同じようにジャスティン・サンはHuobiを個人的な貯金箱にしていると表現し、ユーザーの預金から利益を得ている、ということを指摘している。
スレッドの内容は以上。
個人的な意見と所感
Adam Cochran氏によれば、USDTが売られているのはBinanceがFDUSDを優位にしたいからでも、ジャスティンが上記のような行為をしている可能性があるわけではなく、そのような疑惑を知ったBinanceがリスクを回避するためにUSDTを売却しているとされている。
しかし、なぜUSDTに矛先が向いているのかは明らかではないと思う。USDTのテザー社がジャスティンの計画と関係があるのだろうか?そもそもstUSDTはなぜUSDTを選んだのか?
疑問は尽きない。
この件の事実はまだすべて明らかになっているわけではないと思う。
stUSDTは国債などによって利回りが根拠なっているとインタビューやペーパーでも説明されているが、それ以上の詳細はあまり明確ではないプロジェクト。USDTをステーキングしてリワードをRWA(リアルワールドアセット)からの利益を分配するものとされている。
USDTをステーキングしたアセットがどうリアルワールドアセットと交換され、具体的にオフチェーンでどのように運用されているかが分からない。
しかし、stUSDTのコントラクトアドレスをetherscanでみると、以下のようになっておりJustin Sun 4というアドレスがあった。
これをDeBankでみると確かにstETHが大量に保有されていたのは確認できた。
stUSDTのコントラクトアドレス:0x25eC98773D7b4ceD4cAFaB96A2A1c0945f145e10
Justin Sun 4のetherscan:https://etherscan.io/address/0x176F3DAb24a159341c0509bB36B833E7fdd0a132
Justin Sun4のDeBank:https://debank.com/profile/0x176f3dab24a159341c0509bb36b833e7fdd0a132
これ以上の調査はぼくのスキルでは現状叶わない。続報が入り次第Twitter上で情報共有していきます。興味がある方はフォローをお願いします。
最後に、こういった疑惑が出ている中ジャスティンが「4」とツイート。4にはBinanceのCEOであるCZが「デマに騙されないで」ということを投稿したことに由来している。
ジャスティンには4というツイートをする前に、この疑惑を払拭する反証を提示してもらいたいところなのが正直な感想でだった。
本日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。もしこの記事を気に入っていただけたら、「いいね・Twitterでのシェア」をしてだけたらとても嬉しいです。感想や質問はコメントでお願いします。
コミュニティ
Twitterでいただいたリプライや感想を紹介しています。もしこのニュースレターをサポートしていただける方はTwitter上での拡散をお願いします。読者の声が、ニュースレター継続の最大の原動力です。
おすすめニュースレター
NFT関連の国内外の情報は
さんの を活用しています。まだ読んだことない方はぜひお試しください。免責事項
このニュースレターは、教育目的の情報提供を主旨としており、金融に関するアドバイスではありません。ご自身での調査やデューデリジェンスが必要です。