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今回は、TwitterとSubstackのビジネスモデルの違い、そこから考えるSubstackの強み、今後はTwitterもクリエイターエコノミーの領域に進出しSubstackと競合する可能性があることについて書く。
Summary
TwitterとSubstackのビジネスモデルには、アテンション・エコノミーとクリエイター・エコノミーの違いがある
Substackの成功は、クリエイターの成功と直結している。一方、Twitterのアテンション・エコノミーを支えるアルゴリズムは、レコメンドエンジンが中心である
ソーシャルメディアは最終的にTikTokのようなアルゴリズムに最適化をする必要があるが、この姿勢を望ましいとするかは疑問がある
Substackの強みは、アルゴリズムが関係ないこと、クリエイターにとって信頼できるパートナーとして存在できること
Twitterはクリエイター・エコノミーの領域に進出し、Substackと競合するだろう
Substack NotesとTwitterの対抗策
先日、SubstackでTwitterライクのフィードであるNotesがローンチされた。読者と執筆者が気軽に交流できたりするソーシャルメディアのようにデザインされている。
いいねやリツートなど基本的な機能はTwitterと同じだ。
特徴的なのは、ユーザーのアイコンの横に常に購読ボタン(Subscribe)があるため、より気軽に「購読する・される」が行えるようになっていること。
ぼくのような執筆者には、自分のコンテンツの魅力をNotesに投稿して伝え、より気軽に購読してもらえるチャンスができたといえる。
読者(クリエイターを含む)にとっては、有益な発信をしている読者を見つけたらすぐに購読できるというユーザーエクスペリエンスが提供されている。
このような発表があった後、Twitter上で一時的に以下のような状況となりユーザーに混乱が見られた。
Substackのリンクが貼られたTweetにいいね、RTができない
Substackのリンクをクリックすると安全でないサイトであるという警告画面が表示される
Substackと検索するとNewsletterという検索ワードにリダイレクトされる
これはTwitterがSubstackに強い警戒感を持っていることを示唆するものだが、イーロン・マスク氏は「Substackは、Twitterクローンを起動するためにTwitterデータベースの大部分をダウンロードしようとしていたので、彼らのIPアドレスは明らかに信頼できない。」とTweet。
https://twitter.com/elonmusk/status/1644638493883211779?s=20
この事実については、SubstackのCEOクリスは否定しており根拠のないものだと述べている。
アテンション・エコノミー VS クリエイター・エコノミー
TwitterとSubstackのビジネスモデルの違いには、端的にはアテンション・エコノミーとクリエイター・エコノミーの違いだといえる。前者はよりアテンション(ページビューやエンゲージリング)を稼ぐ必要がある。なぜなら、広告費が主な収益源だから。
一方、Substackはクリエイターの有料購読料の10%が収益源。そのため、ビジネスモデルと達成したい勝利条件も異なり、Substackの場合、コンテンツクリエイターの成功がSubstackの成功と直結している。
アドネットワーク的レコメンドとSubstackのレコメンドの違いには、人間性が介在するかどうかであるとぼくは考えている。アテンション・エコノミーを支えているアドネットワークは、Cookieを利用しこの商品を検索したことがあるユーザーは、別のこの商品も好きだろうという広告レコメンドエンジンと表示を最適化させるアルゴリズムだ。
一方、Substackのようなレコメンドは、購読する人間が評判の根源にある。
つまり、この面白いニュースレターを書いている人の読んでいる又はおすすめしているニュースレターはきっと面白いだろう、という人間の評判がレコメンドとして可視化され機能している。
Substackの読者は統計的なレコメンドではなく、統計的にはおすすめされることのないアルファ(有益な情報元)に”購読”を通じて出会うことができるのだ。
ソーシャルメディアはTikTok化する運命
ソーシャルメディアは、最終的にTikTokのようなアルゴリズム最適化せざるを得ないと考えている。なぜならアテンション・エコノミーでの収益を最大化させる必要があるからだ。
したがって、ユーザーはアルゴリズムに奉仕するように行動させられる。先日Twitterで「おすすめタイムライン」に表示されるアルゴリズムが公開されたが、これに則り多くのユーザーが参考にしたTweetをしている。ぼくも参考にした。
しかし、Twitterを攻略することが本当にやりたいことなのであろうか?そうではないはずだと気がついた。自分の本当に面白いと思うこと、こんなに興味深いのに注目されていないと思うこと、を発信して注目されたいはずなのだ。そして、得られた信頼を自分のビジネスに繋げたいはずだ。
短期的に得られるものがあってもアルゴリズムは変更されていくので、維持するためには相当の努力をし続けなればならない。いたちごっこからは抜け出すことはできないため、長期的な成果には結びつきにくいはずだ。
そのため、アルゴリズムを利用してやろうという姿勢が望ましいといえる。ぼくもアルゴリズムを知った上でTwitterでの発信を行うようにしている。結果はまだ出ていないので説得力はないだろうが😇
ところが、Substackではアルゴリズムがユーザーに奉仕する形になっている。つまり、Substackユーザーは質の良いコンテンツを提供し続けることに集中すればよい。あとは読者が構成するSubstack上のネットワークとコミュニティによって、読者が読者を呼んでいく構造が作られているのだ。主にそれはレコメンド機能と、リファラルプログラムによって支えられている。
SubstackはWeb3的なカルチャーを目指している?
Substackでは、コンテンツをエクスポートしてすぐに別のプラットフォームで発信したコンテンツを引き継ぐことができる。つまりポータブル性に優れているのだ。
これはブロックチェーン上のアプリケーションやトークンのように、どこのプラットフォームでも共通規格に則ってさえいれば、どこにでも移動させることができるといったオープンな特徴と似ている。Substackは、インタビューではブロックチェーンプロトコル開発は否定しているが、もともとのサービスの性質やビジョンの親和性は高いといえる。
CEOのクリスは、「より良い答えは信頼できるプラットフォームがあることだ」とインタビューで述べており、分散型プロトコルは否定していないが、Substackのようなサービス運営者をユーザーが信頼することができるのがもっともユーザーが良質なコンテンツを生み出し続けることができる仕組みだと信じている。
Substackの強みは、アルゴリズムが関係ないこと、信頼できない時に離れることができること、それがゆえに信頼できるパートナーとして存在できること、だといえる。
Twitterのクリエイター・エコノミー領域への進出
ただし、Twitterもそのまま見ている訳ではなく現在開発されているだろう機能はおそらくクリエイターエコノミーの文脈に近いもだろう。最近では、フォロー対象者のSubscribe機能を提供開始した。これは月額費用を支払って、フォローした相手の限定Tweetの閲覧やSpacesに参加する権利を入手することができるものだ。
そうなると、Substackの真っ向から競合となり得る機能をどんどん打ち出すことになるだろう。おそらく、広告収益主体から、クリエイター手数料主体へと移行していくかも知れない。Twitterは、ニュースレターを機能を廃止したが、今後復活させるということは十分に有り得る。
その際、Twitterのフォロワーに対して何らかの特別なアプローチができるようになるとすれば、Substackには簡単に真似することができない機能として注目される可能性が高いといえる。さらに、Twitterは金融サービスも取り込もうとしている動きがあり、スーパーアプリを目指している。このような動きはSubstackには脅威となるだろう。
しかし、Twitterがスーパーアプリとして様々な機能を追加していくほど、本来の文字情報の伝達という機能から離れ始めることになるだろう。そうなれば、Substackは強みをさらに磨くことで存在感を増していくのではないだろうか。
参考記事
Title: Is Substack Notes a “Twitter clone”? We asked CEO Chris Best
URL: https://www.theverge.com/23681875/substack-notes-twitter-elon-musk-content-moderation-free-speech
ぜひこの機会にSubstackのアカウントを作ってNotesを利用して、良質なニュースレターコンテンツを探してみてください。
今後もこのような情報をTwitterやニュースレターで発信していきます。興味がある方は、ぼくのTwitterとニュースレターをSubscribeしてください🙏
さて、本日は以上です。
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