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先日、Vitalikが「Should Ethereum be okay with enshrining more things in the protocol?」というブログを公開して話題になった。
リポストやいいね、リプライの数を見ればエンゲージメントの高い話題であったことが分かるはずだ。
ブログでは、イーサリアム自体にアカウントアブストラクション(ERC-4337)やzkEVMやリキッドステーキングを組み込む利点や弊害を考える上で必要な論点を整理している。
今回のニュースレターでは、アカウントアブストラクション(ERC-4337)をイーサリアムのプロトコルに組み込むことのPros/Consをブログを参考に整理し、現時点の論点の理解を深める。
最初にぼくの現時点の意見を述べておくと、イーサリアムに様々な機能を組み込むのは最小限に留めるべきだと思っている。なぜなら、イーサリアムは主に分散化やセキュリティをもたらすL1としての存在意義に集中し、その他のユーティリティは別のレイヤーが担う方がイーサリアムがシンプルでいることができるし、柔軟性も高いと考えているからだ。
最終的に、Pros/Consを理解した上でどのような考えを持ちますか?ぜひあなたの感想や意見を教えていただければ嬉しいです。
それでは、今回もよろしくお願いいたします。DIVE INTO CRYPTO!
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🧵Contents
🐷Vitalikのブログの概要
📈EthereumにERC-4337を組み込むメリット
📉EthereumにERC-4337を組み込むデメリット
👀まとめ:あなたはどう考えるか?
🐷Vitalikのブログの概要
2023年9月30日に投稿されたVitalikのブログによると、イーサリアムプロジェクトは初めからプロトコルのシンプルさを保ちつつ、その上に多くの機能を構築するという強い哲学を持っていた、という。
この哲学は主にスケーリング問題に焦点を当てていたが、他の多くのユーザーのニーズにも適用されていた。
しかし、最近になって、イーサリアムのコアプロトコルにこれらの機能を組み込むことに対する慎重な関心が高まっている、という。
アカウント抽象化は段階的に進化し、比較的実行可能な提案であるEIP-2938に至った。この提案はミニマリスティックではなく、新しいトランザクションタイプや複雑なマイニング戦略など、多くの新しい要素を含んでいた。
さらに、ERC-4337はEIP-2938を進化させ、ハードフォークを必要とせずにアカウント抽象化を実現した。
しかし、これは完全な解決策とはならなかった点もある。ERC-4337の中期ロードマップでは、プロトコル機能として大部分をイーサリアムに組み込むことを検討していることが示されている。
📈EthereumにERC-4337を組み込むメリット
イーサリアムプロトコルにERC-4337を組み込むことには、いくつかのメリットが存在する。以下に主な利点をブログを参考に挙げてみる。
ガス効率の向上: ERC-4337を組み込むことで、EVM内での操作に伴うオーバーヘッドが削減される可能性がある。特にストレージスロットのようなガスコストが高い機能の利用が非効率になる問題に対処できる。これらの非効率は現在、少なくとも約20,000ガスに相当し、プロトコルにこれらのコンポーネントを組み込むことが最も簡単な解決方法である。
コードバグのリスクの低減: ERC-4337の「エントリーポイントコントラクト」に重大なバグがある場合、すべてのERC-4337互換ウォレットの資金が失われる可能性がある。プロトコルの機能としてこのコントラクトを置き換えることで、ハードフォークによってコードバグを修正し、ユーザーの資金を保護する責任が暗黙的に生じる。
EVMオプコードのサポートの強化: ERC-4337は、tx.originがトランザクションを送信した実際のアカウントを指すように修正することで、EVMオプコードのサポートを強化する。これにより、プロトコルの柔軟性と拡張性が向上する。
検閲抵抗の強化: 提案者/ビルダーの分離の問題は、個々のトランザクションの検閲が容易になることである。ERC-4337をプロトコルに組み込むことで、ユーザーオペレーションを「適切な」トランザクションタイプとし、この問題を解決することができる。
これらのメリットは、イーサリアムプロトコルの拡張性、安全性、およびパフォーマンスを向上させる可能性を示している。
そして、これらの利点は、イーサリアムコミュニティ全体にとって価値のあるものとなる可能性が高い。特に、ガス効率の向上は、イーサリアムの利用コストを削減し、ユーザーや開発者にとってのアトラクティビティを高める可能性がある。
📉EthereumにERC-4337を組み込むデメリット
ERC-4337の組み込みにも関わらず、いくつかのデメリットが存在する。以下は、主な欠点をいくつか示している。
ガスコストの増加: ERC-4337は、「基本的な」イーサリアムトランザクションよりもコストが高く、多くのガスコストが発生する可能性がある。これは、ストレージの読み書きコスト、ビジネスロジックの処理、ログの支払い、一回限りのコントラクト作成コストなどが関与しているためである。
プロトコルの複雑性の増加: アカウント抽象化の組み込みは、プロトコルの複雑性を増加させる。これは、新しいトランザクションタイプやマイニング戦略の導入を含む可能性があり、これによりエンドユーザーや開発者の学習曲線が急になる。
固定コストの発生: プロトコルに機能を組み込む「市場ベースのアプローチ」は、「複雑さをエッジに移動する」という一般的な教訓を提供する。しかし、高い固定コストが発生する場合、このアプローチの効果が低下する。
コミュニティ全体の対応が必要: コードバグへのコミュニティ全体の対応や、プロトコルの力を直接利用することによる機能の強化など、いくつかの理由からプロトコル内での機能の組み込みが推奨されている。しかし、これはコミュニティ全体の対応とコンセンサスを必要とするため、実装が遅れる可能性がある。
これらのデメリットは、ERC-4337の組み込みがイーサリアムプロトコルの進化にどのように影響するかを考慮する際に重要である。
特に、ガスコストの増加とプロトコルの複雑性の増加は、開発者とエンドユーザーの両方にとって深刻な懸念事項となる可能性がある。
👀まとめ:あなたはどう考えるか?
イーサリアムにERC-4337を組み込むことは、ガス効率の向上、コードバグのリスク軽減、EVMオプコードのサポート、および検閲抵抗の強化など、多くのメリットをもたらす可能性がある。
これらの利点は、プロトコルの効率とセキュリティを向上させ、より広範で多様なアプリケーションの開発を促進することができる。
しかし、一方で、ガスコストの増加、プロトコルの複雑性の増加、高い固定コストの発生、およびコミュニティ全体の対応が必要であるというデメリットも存在する。
特にガスコストの増加は、トランザクションのコストを増加させ、イーサリアムの使いやすさとアクセス可能さに影響を与える可能性がある。また、プロトコルの複雑性の増加は、エンドユーザーと開発者の両方にとって学習曲線を急にする可能性があり、イーサリアムの採用を妨げる可能性がある。
これらのメリットとデメリットを慎重に検討し、それらがイーサリアムコミュニティと広範なブロックチェーンエコシステムにどのように影響するかを理解することは、ERC-4337の将来的な採用もしくはプロトコルへの組み込みにとって重要である。
ERC-4337の組み込みがイーサリアムの長期的な成功にどのように貢献するか、または妨げるかについては、さまざまな要因とトレードオフを考慮する必要がある。
最終的に、ERC-4337の組み込みに対する立場は、個人的な利益、技術的な理解、およびイーサリアムコミュニティの将来に対するビジョンに大きく依存するだろう。
この議論は、イーサリアムの進化とブロックチェーン技術の未来にとって重要なものであり、慎重に検討と議論を行う価値がある。
本日は以上です。
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