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Aaveのステーブルコイン、GHOがローンチ以来1ドルを割り長期に渡ってデペグしている。
今回のニュースレターでは、GHOがデペグしている原因、そしてAaveDAOが検討している改善策について解説。
DeFiで利益を得るためには、ステーブルコインの性質やリスクを理解しておくのは必須。GHOがどのような状況に陥り、そこからどう脱出しようとしているのかを知っておくことでステーブルコインへの解像度を上げることができるだろう。
それでは、今回もよろしくお願いいたします。DIVE INTO CRYPTO!
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🧵Contents
GHOとは:Aaveネイティブのステーブルコイン
GHOがデペグしている原因
デペグ改善策としてのユーティリティ
👻GHOとは:Aaveネイティブのステーブルコイン
GHOとは、Aaveが発表した暗号通貨担保型ステーブルコインのこと。
ただし、現時点ではAaveに預け入れられたトークンの過剰担保によって発行されるが、発行を司るのはDAOにより認められたファシリテーターが担う。
ファシリテーターがどのような資産を担保として扱うかを決定し、発行をコントロールすることができる仕組みになっている。
上記の図のようにRWAや信用スコアなど、既存金融のように有形資産だけでなく無形資産を担保としてステーブルコイン(GHO)を発行できるポテンシャルを秘めている。
以下の記事で解説しているので、より詳細に興味がある方は御覧ください。
📉GHOがデペグしている原因
GHOがデペグしている原因は、シンプルに言えば使い道が少ないから。
DeFiにおいて、ステーブルコインを保有する目的はいくつかあるが、流動性ペアや担保資産として使うことが大半だと思う。
しかし、GHOはそのようなペアプールが用意されているものの、以下のような理由によって市場で1ドルを下回る価格で売られてしまっている。
GHOがデペグする原因
DAIなどのように市場の変動に応じた調整メカニズムがない
GHO借入利率が低く、他のステーブルコインとのアービトラージされる
sDAI(APY5%)のような利回りの選択肢がなく売られる
一つずつ解説する。
1.DAIなどのように市場の変動に応じた調整メカニズムがない
DAIは、DAIの担保資産に対して借入率が上昇すると、借入利率を上昇させて返済に対するディスインセンティヴを作っている。逆に借入率が経れば余裕があるので利率を下げてDAIを使われやすくする。
このように弾力的に市場の需要と供給に応じて調整することで、DAIの発行レートを調整している。GHOにはこのような機能が備わっていない。
2.GHO借入利率が低く、他のステーブルコインとのアービトラージされる
GHOの借入利率は、AAVEのガバナンストークンをステーキングしていると割引される。DAIなどを借入するよりも少ないため、
GHOを借り入れする
DAIにスワップして運用する
とした方が利率が良くなるため、この裁定取引を目的に市場でGHOが売られてしまいやすくなる。なお、この借入利率は上昇させられる予定。
3.sDAI(APY5%)のような利回りの選択肢がなく売られる
DAIはSpark ProtocolというMakerDAOのSubDAOが展開しているスマートコントラクトにデポジットすれば5%APYが出る。仕組みとしては米国債RWAでの運用利回りがあるからだ。
GHOはこのような利回りを提供する機能が現状ない。したがって、利回りの生まれないステーブルコインをただ持ってLPをしても資金効率が悪いので売られてしまう、もしくはHODLのモチベーションが生まれない。
ちなみに、Spark ProtocolはSPRKのエアドロを宣言しているので、資金の余裕があればデポジットしてエアドロを狙うという選択肢がある。既に8億ドル近いTVLとなっている。
🧑🔬デペグ改善策としてのユーティリティと競合との差別化
ではどう解決するか?
現在AaveDAOでは、Maverick Protocolなどと協力し、管理された流動性を用いてGHOのペッグを回復させる計画が進められ議論されている。
AaveDAOでは流動性委員会(LC)を組成してMaverick以外のプロトコルのトレジャリーマネジメントを進めている。
DeFiのプールを活用したペグ戦略は専門的な知識と持続的なコミットが必要であり、簡単に達成できるものではない。しかし、LPだけではGHOホルダーへのモチベーションは持続的ではない。
そこで、ユーティリティとしてAaveの担保として利用できるwGHOの導入、GHOをステーキングすることでsDAIのような利回りを提供することが検討されている。
後は以下のようなイベント参加パスを100GHOで購入できるような取り組みもしているようだ。正直これだけでは苦しいだろうと思う。
ただし、個人的な意見ではsFraxやsDAIと競合は増えているため、すぐにペグを改善するのは難しいのではないかと思う。Aaveがこれらに対抗しようとなるとRWA型へと移行せざるを得ず、DAOでの承認とファシリテーターの選定も必要で恐らく時間がかかるだろう。
その間に、すでにローンチされているsFrax、sDAIに市場のユーザーを奪われてしまう可能性がある。彼らとは差別化された利点を強調できるかどうかが、GHOが生き残ることができるかの分かれ道になるだろう。
本日は以上です。
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