コインチェックINO第1弾:Eternal Crypt - Wizardry BC -のゲーム概要とトークンエコノミクスを考察
長期的なゲームへのコミットを創出するためには何が必要なのか - #84
GG18の経過報告
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コインチェックで初めてのイニシャルNFTオファリング(INO)が行われることが発表された。
INOとは、プロジェクトの初期段階でNFTをセール価格で販売し、初期プロジェクト参加者の獲得、資金調達をNFTによって行う取り組みだ。
INOは儲かるのか?というのは正直わからない。
ぼくはどちらかというと、「トークンエコノミクスを有するゲームが、どれだけ持続的に運営可能なのか」という点に興味がある。
ただ、持続的なゲームが実現されるのなら、それは自ずとトークンプライスにも影響するだろう。
今回のINOに参加する人も、参加する予定の無い人でもトークンエコノミクスに興味がある人であれば役に立つ内容を意識して書く。
それでは本日もよろしくお願いします。DIVE INTO CRYPTO!
🧵Contents
コインチェックINO第1弾の概要
Eternal Crypt - Wizardry BC -のゲーム性と特徴
トークンエコノミーの評価
考察と所感:長期的なゲームへのコミットを創出するために
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コインチェックINO第1弾の概要
今回のINOは、コインチェックNFTというマーケットプレイスの1号案件として、Eternal Crypt - Wizardry BC -で使用できるNFT、「Adventurer Genesis Collection」の先行販売が行われる。
購入希望者はAL(Allow list)に申込み、抽選でALの当選者を決定を行う方式だ。
なお、販売終了後、一定の期間購入したNFTの出庫制限がある。
スケジュール
先行販売NFTと独自トークンBCに関する基本情報
販売価格:500USD(1個あたり。ETH建てになる)
総発行個数:10,000個
今回のNFT販売個数:100個
NFT1個あたりのBCトークン最大獲得量:19,000BC(総発行量10億BCの19%)
NFT1個あたりのBCトークン獲得可能な量:
先行リリース期間:73.7%
ゲームリリースから90日:残りの26.3%
INO時のBCトークン時価総額:7,250,000 USD
Adventurer Genesis Collectionへのアロケーション:200,000,000 BC
INO時点での1 BCトークン価格:0.025USD(※Adventurer Genesis Collection へのアロケーションがすべて放出された場合の理論値)
Burn戦略:ゲーム未プレイ等によりAdventurer Genesis Collectionを通して獲得されなかったBCトークンについては、Burn予定
販売予定価格は、0.2ETH ~ 0.27ETHで、Coincheck INOではおよそ20%の割引価格で販売される。
Eternal Crypt - Wizardry BC -のゲーム性と特徴
ブラウザだけで遊べる
無料で遊べる
Polygonを採用している
Eternal Crypt - Wizardry BC -は、WizardryというRPGの初期の代表人気作品をバックボーンにしている。なお、IVS Crypto 2023 KYOTOで開催されたWeb3ゲームコンテスト「SHAKE! KYOTO」にて、優秀賞・MARBLEX賞を受賞しており期待値は高い。
Wizardryのコアなゲームサイクルである「街での準備」「ダンジョンでの探索」「報酬の獲得」のサイクルを回していき、ダンジョン攻略の戦略性を楽しむゲームだ。
無課金でもゲームを楽しむことでNFTキャラを入手でき、ダンジョン報酬で得たNFTをゲーム内マーケットプレイスで売却することも可能。無課金プレーヤーでも稼げる仕組みを持たせている。
ゲーム内NFTは冒険者NFTとアイテムNFT
ゲーム内NFTは複数存在する。
代表的なNFTは、今回INOの対象となっているAdventurer Genesis Collection(AGC)。
通常の冒険者NFTとは異なり「Genesis」というレアリティとして発行され、AGCを編成してダンジョンを挑むことで先行リリース期間でもBlood Crystal($BCトークン)を獲得できる。INOのみで入手可能。
他の冒険者NFTをミント発行するためのアイテムがいくつかあり、これらがマーケットプレイスで流通するNFTになる。
このゲームの攻略のポイントは、錬金力と能力値であると思われる。
錬金力とは、ダンジョン攻略を通じてどれだけBCトークンをマイニングできるかの指標。これはダンジョンを経るごとに減少していく有限の仕様となっている。
能力値はダンジョンの攻略に最も重要なステータスパラメータ。種族と職業によってバランスが異なるはずだが、INOでセールされるNFTは高性能を有している。
錬金力は減少するが、能力値はずっと変わらない。パーティは最大36人のメンバーで構成され、錬金力と能力値(種族と職業)のバランスを取って、攻略できるダンジョンを選び、BCトークンを稼ぐのがゲームで稼ぐ方法になる。
このゲームで稼ぐ方法をまとめると、
ダンジョンを攻略しBCトークンを獲得する
冒険者NFTをミントしてマーケットプレイスで売却する
また、今回のINOによってセールされるNFTを使ってプレイできる先行リリース版では、BCトークンの総発行量の20%が割り当てられている。これは、今後2年間のゲームプレイで放出する用に用意されている枠よりも多い。
ただし、先行リリース期間でのゲーム未プレイなどによるBurnにより変動する場合があるが、この初期配布量の多さはトークン価格にプラスにもマイナスにもなる可能性を潜在的に有している。
簡潔に言えばINOに参加したユーザーにBCトークンの20%すべてが配布される、一般公開された直後の初動が悪くユーザーが流入しなければ、大きなトークン売り圧に発展するだろう。
BCトークンの価格が基本的にこのゲームをプレイするインセンティブになる。つまり、ユーティリティ(実用性・用途)がどのように設定されているかで価格が左右されるため、その観点でトークンエコノミーを評価する必要がある。
もちろん、ゲームをシンプルに楽しむという観点は除外しての話だ。
トークンエコノミーの評価
トークンアロケーションは以下のとおり。
トークンエコノミーの持続性
Eternal Crypt - Wizardry BC -は、「ゲームとして面白い」という点以外に、持続的なトークンエコノミクスを構築したい、と言っている。
従来のNFTゲームの課題としては、
NFTの発行数が増加し続けてほとんど価値がなくなる
ゲーム内通貨がインフレしてプレイするインセンティブがなくなる
といった事が挙げられる。
これらにどのように対処しているのだろうか。詳しく見ていこう。
まず、BCトークンは発行上限があり、10年で排出を終える仕様になっている。
INOに参加すれば、先行リリース版で排出される20%を得ることができ、それ以降でもBCトークンの排出されるトークン入手を期待して参入できるようにしている。これはわりと先行者に有利な設計となっているといえる。
さきに挙げたゲーム内NFTを購入するためには、BCトークンで取引する必要があるようにし、NFTの発行枚数とBCトークンのインフレを調整できるようにしている。
しかし、先行者に続いて一般ユーザーが入って来ないと、先行者がNFTを売却できない。売却する相手が十分にいなければゲーム内からの収益は著しく限定的になってしまう。ゆえに、冒険者NFTやアイテムNFTを購入したいというモチベーションを一般ユーザーが持ち続けないと行けない。
これは「ゲーム自体の楽しさ」によってユーザーがある程度の確度を持って儲けられるという潜在意識を抱いてもらわなければいけないため、かなりハードだろう。
また、ユーティリティを充実させてBCトークンの需要を支える仕組みはあるものの、ゲーム自体の需要が無くなればBCトークンを入手するインセンティブも働かなくなり、さらにゲームへの需要を失うという「ゲームからの退場者を連鎖的に増やす可能性」を含んでいるとも考えられる。
ゲーム外での経済圏の可能性
Eternal Crypt - Wizardry BC -では、ゲーム内の閉じたトークンエコノミーだけに依存しない収益構造を模索するようだ。
たとえば、F2Pユーザーからの広告収益の獲得や、メディアミックスや他大型IPとのコラボの実現などIPを多角的に展開していくとしている。
WizardryのIPオーナーであるドリコムはスマホゲーム、ライトノベル、コミックなどを並行して展開している。
しかし、これらの収益が誰に、どれくらい、どのように分配されるのか、については明言されていない。この点を期待を持つことは現時点ではできないと思う。
考察と所感:長期的なゲームへのコミットを創出するために
ゲームを長期的に楽しむ要素を充実させることが必要だと思う。
それは、ゲームが実際に楽しいだけでなく、ちゃんと持続的に稼げること、ソーシャルアカウントを利用した他のユーザーとの交流による承認欲求の充足などが重要となるだろう。
また、トークンエコノミクスの観点において個人的な考察としては、
BCトークンをステーキングできるようにしてステーキングした人だけの限定コンテンツを用意して流通量を調整する
一定期間BCトークンをロックしてveBC(vote-escrowed BC)トークンを発行してガバナンス体制をつくる
ガバナンスによってBCトークン排出インセンティブを与えるイベントをコントロールできるようにする
といった仕組みが組み込まれるとよりゲームに長期的なコミットメントを期待できるのではないか、と考えた。これはDeFiのveトークンエコノミクスからのアイデアであるが、これをするとガバナンスの寡占化が進むという未来が待っている。
そこにどのように対処するかは今のところ解決策はない。現時点で無理やり解消すべきではない課題であるとも思う。
veトークンエコノミクスについて以下の記事を参考にしてください。
仮に、veトークンエコノミクスをEternal Crypt - Wizardry BC -が採用するのであれば、今回のINOによってBCトークンを稼ぎまくることで今後の排出量をコントロールできるため、有利な立ち振舞ができることになる。
逆にそういった可能性が分からない(逆にいえばトークン排出量がコントロールできない)ので、ゲームを楽しみたい人以外は、現時点で参加すればいいか迷う、というのが正直なところなのではないだろうか。
いずれにしても、長期的なコミットメントをゲームで作るためにゲーム以外の楽しさをかけ合わせるために、DeFiのマネーゲームで既にユーザーを惹きつけた事例を参考にすべきだと思う。
ここまでの全ての内容は、あくまで個人の考察と感想であり、投資を推奨するものではありません。
本日は以上です。
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