🧵ROLLUP: Arbitrumのインセンティブプログラムの恩恵を最も受けるだろう4つのプロトコルとは
2023/09/24-10/01 Weekly crypto alpha 🧵ROLLUP and 🧬TLDR - #95
クリプトアルファなニュースをリサーチャーの観点で振り返るROLLUPです。
先週のROLLUPは以下です。
今週の改善点は、ややニュースを深掘りコーナーDeep Diveと、よりシンプルでインプットしやすさを意識しつつTLDRを書くようにしてみました。
この形式が気に入った方は、いいねや感想をコメントでいただけるととても嬉しいです。
それでは本日もよろしくお願いします。DIVE INTO CRYPTO!
🧵 Table of contents
ROLLUP: 2023/09/24-10/01
⛓️Chain
Ethereumの新たなテストネットHoleskyが機動
Intentドリブンの相互運用性OrbyとOrb Stack
🎰DeFi
Curve founderのMichael EgorovはAaveにあったCRVによる債務ポジションを解消
Arbitrum Foundationとの提携により、Arbitrum Japanが日本市場で展開開始
💧Airdrop
Celestia Genesis エアドロップ
Linea Voyage XP
👔 Enterprise
グローバルアセットマネジメント企業VanEckがEthereum Strategy ETF(EFUT)の立ち上げを発表
フィジタルなIDプラットフォームIYKがa16zらより1,680万ドル調達
📰Reading
なぜオンチェーンにRWAを持ち込むことが重要なのか
Vitalikブログ「イーサリアムはプロトコルにもっといろいろなものを組み込んでもいいのだろうか?」
[Deep Dive]
Arbitrumのインセンティブプログラムの恩恵を最も受けるだろう4つのプロトコルとは(read time 5min.)
2023年7〜9月は、Arbitrum→OptimismにTVLが移行した時期になったが、10月からはArbitrumにTVLが戻ることが予想される。
その背景は、5,000ARBがインセンティブ予算として配布されるからだ。
申請したArbitrumのDeFiプロトコルに配布されユーザーのインセンティブに支払われる。Optimismで起きた局所的ミニブルランが再現される可能性がある。
今回のDeep Diveでは、Uroboros Researchが調査したレポートからArbitrumのインセンティブでの立ち回り方を参考にしようと思う。
ARB短期インセンティブプログラム(Arbitrum’s Short-Term Incentive Program:STIP)の概要
インセンティブ予算総額:50m ARB(DAO投票)
インセンティブ配布の4つのTier(カッコ内はARB配布量):
ビーコン:(20万ARB未満)
サイレン:(75万ARB未満)
ライトハウス:(200万ARB未満)
ピナクル:(200万ARB以上)
期限:プロトコルが承認され2024年1月31日までARBが配布される
申請ラウンド:2回の投票申請ラウンドがある
参考記事では、インセンティブ資格とARB受給基準には、Arbitrumのローンチ経過日数、TVL、30日間取引量であると想定されている。
各プロトコルの申請状況は、Blockworksによるスプレッドシートが一覧でまとめられている。
インセンティブプログラムから恩恵を受けるために
最も経済的な恩恵を受けるためには、ARBをロングするよりも、ARBをインセンティブとして多く配布することができるDeFiプロトコルの「ガバナンストークン」だと主張されている。
ARBがインセンティブとして配布されるプロトコルは、
より多くの手数料/収益が発生する
より多くの取引量はより多くの収益分配ができる
多額の助成金を受け取るプロトコルのガバナンストークンを入手する方が、ARBを入手するよりも収益的な観点では合理的になる可能性があるからだ。
このプログラムは、参加した全てのプロトコルに等しく恩恵が与えられるわけではなく、一部のプロトコルが突出したパフォーマンスを発揮する可能性がある。
ARB助成金→TVLと取引量が増える→プロトコルのファンダメンタルズが改善→トークンプライスが上昇というロジックだ。
以下のグラフは、OptimismのVelodromeのTVLとガバナンストークンの価格を表すもの。OP配布が行われたことに比例して、いずれの値も上昇している。
正直、ARBの一緒に上がるのではないか?というのは個人的な予想だ。以下はOPのプライスチャート。VelodromeのTVLとわりと相関しているように見える。
ARB配布基準に基づいて各プロトコルがどのTierに属する可能性があるか分析の結果、plsARB、GND、JONES、GRAILを擁するDeFiプロトコルがARBインセンティブによって、最もよいパフォーマンスを発揮するのではないかと結論づけられている。
以下、引用記事からの抜粋翻訳。
状況: 11ヶ月稼働、総ロック額(TVL)は$7.4m、ARBの投票権も多い。
特徴: plsARBはARBの流動性を提供するが、価格が70%下落。それでも、チームはplsARBの価値を高めようとしている。
今後: グラントが承認されれば、最大で750k ARB(約$600K)が獲得でき、TVLを増やすために使われる可能性が高い。
状況: 5ヶ月稼働、TVLは$8.4m。
特徴: Univ3エンジンと農場を持ち、安定した収益を上げている。ただし、過去にはコミュニケーション不足と詐欺による問題があった。
今後: グラント提案が通れば、最大で750k ARBを獲得できる。
状況: 19ヶ月稼働、TVLは$20.1m。
特徴: 3つの金庫(vault)を持ち、ユーザーはAura、GLP、USDCを預けて利益を得られる。
今後: 最大で2m ARBのLighthouse Grantが獲得できる可能性があり、その資金でさまざまな戦略を展開できる。
状況: 11ヶ月稼働、TVLは$58m。
特徴: 9m ARBのグラント申請は却下されたが、Lighthouse Grant(最大2m ARB)の獲得が有望。
今後: 12ヶ月を超えれば、更に大きなPinnacle Grantも視野に入る。
上記のプロトコルのガバナンストークンはウォッチリストに入れておくと良いかも知れない。ウォッチリストの登録はこちら(CoinMarketCap:plsARB、GND、JONES、GRAIL)。
念のため。ガバナンストークンは、価格が乱高下するものなので直で買うのはおすすめできない。興味があるプロトコルに流動性提供の対価してもらうのが定石だと思う。
改めてであるが、Not financial adviceである。
Weekly crypto alpha 🧵ROLLUP and 🧬TLDR
⛓️Chain
1.Ethereumの新たなテストネットHoleskyが機動(read time 1min.)
Ethereumの新しいテストネットHoleskyがローンチされた(Github)。
当初は2022年9月15日に公開されたThe Mergeの1周年を記念する日に展開される予定だったが、うまく起動することができず延期されていた。
Holeskyは、現在稼働中のGoerliテストネットに代わるもので、GoerliでのテストネットETHが不足する問題に対処するように設計されている。
次期大きなアップグレードであるDencunのテストもHoleskyで行われる予定。Dencunでは、Proto-danksharding(EIP-4844)が含まれる重要なステップになり、実装時期は2024年の前半が見込まれている。
2.Intentドリブンの相互運用性OrbyとOrb Stack(read time 2min. )
Orbyが提供するソリューションは、ユーザーが複数のチェーンにまたがるアカウントや資産を一元的に管理できるようにするもの。
マルチチェーンでのアプリとの対話を「インテント」の形式で処理し、任意のチェーンのトランザクションを実行できるようにする。
これにより、複数のチェーンにまたがったユーザーの資産が一元的に管理できないといったアカウントの断片化という問題に対処する。
🎰DeFi
1.Curve founderのMichael EgorovはAaveにあったCRVによる負債ポジションを解消(read time 1min. )
Michael EgorovはSiloに6,800万CRVを預け2日間で10.77M$CRVUSDを借りた。その後、$crvUSDを$USDTに交換しAaveですべての負債を返済した。
現在は、2億5,367万ドルCRV(1億3,252万ドル)を担保に、4つのプラットフォームで4,270万ドルの負債を抱えている状態になる。
2.Arbitrum Foundationとの提携により、Arbitrum Japanが日本市場で展開開始(read time 2min. )
この提携により、Arbitrumの高度なスケーラビリティとセキュリティー機能を活かし、日系企業や行政の新規事業開発が可能になる。
Fracton Venturesは、日本市場でのArbitrumエコシステムの成長を促進するとともに、金融、エンターテインメントなど、日本独自のIPやアセットを活用した事業展開をサポートする。
技術的教育コンテンツの拡充に注力し、開発者コミュニティを増強する方針。Arbitrumが日本ユーザー、日本企業に採用されることを促進する狙い。
💧Airdrop
1.Celestia Genesis エアドロップ(read time 2min. )
コンセンサスとデータアベイラビリティを提供するCosmosベースのL1チェーンであるCelestiaがエアドロップを行った(https://genesis.celestia.org/)。
Celestiaの開発とリサーチのコントリビューター、Githubでのモジュールブロックチェーンへの貢献者、EthereumのRollupへのアーリーアダプター、Cosmos HubやOsmosisへのステーカーが対象となった。Trustgoというウォレットシビル判定が利用されたようだ。
Ethereumのアーリーアダプターは、スナップショットの段階で50ドル以上をオンチェーンに乗せていたことが基準となっていた。エアドロップを狙うのであれば、ボットとして排除されないようにしつつ(シビル攻撃対策)、50〜100ドルで流動性提供などのオンチェーンアクティビティを行うことがある種の基準なのかも知れない。
2.Linea Voyage XP(read time 2min. )
Voyage XPは譲渡不可のトークンで、金銭的価値はないが、コミュニティへの貢献や特定の役割、特典を受け取る資格を示すものとして機能する。現在は、エンターテイメント系のアプリケーション(ソーシャルとゲーム)を中心にタスクをこなすとポイントがもらえる。キャンペーンの参加はこちら(期限まで残り8日間)。
VeraxというProof of Humanityを検証するプロトコルを導入しており、Twitter/Xのアカウント、Discordのアカウントをウォレットに紐付ける必要がある。
認証を終えたらフェーズ1が完了する(Lineaにガス代をブリッジしておく必要がある)。フェーズ2はLineaが定めたスタンダードタスクを消化していく必要がある。Lineaでオンチェーンの活動をエアドロ狙いでがっつりやっておきたい場合は取り組んでおくのが良さそう。
👔 Enterprise
1.グローバルアセットマネジメント企業VanEckがEthereum Strategy ETF(EFUT)の立ち上げを発表(read time 1min. )
VanEckは、今後発表されるETH先物ETF(EFUT)の利益の10%を、イーサリアムのコア貢献者の報酬プランであるProtocol Guildに少なくとも10年間寄付すると発表。
Protocol GuildはEthereumのコアプロトコルの維持に重要な役割を果たす約150人を支援する資金調達メカニズム。
ETFは資産そのものではなくETH先物契約を保有し、米国最大の先物・オプション取引所であるシカゴ・オプション取引所で取引される予定。VanEckはすでにビットコイン先物ETFを提供している。
2.フィジタルなIDプラットフォームIYKがa16zらより1,680万ドル調達(read time 5min. )
IYKプラットフォームは、ブランドやアーティストが技術的な知識なしでデジタルと物理的な体験を提供するサービスを開発した。
このプラットフォームは、NFCチップを用いて製品に新しい消費者体験を提供し、ユーザーが本物の製品所有者であると自己識別できるようにする。
ブランドが現地に参加した証明でNFTをドロップする場合に、現物にスマートフォンをタッチするだけでNFTを受け取れるような実装を可能にするモジュールを開発している。
📰Reading
1.なぜオンチェーンにRWAを持ち込むことが重要なのか(read time 2min. )
RWAをトークン化する利点として、より多くのユーザーがオフチェーン資産にアクセスできる、暗号化組織に収益をもたらす、DeFiとの連携が可能などが挙げらる。
ステーブルコインの経済性も向上し、オフチェーンの借り手にも恩恵があり、トークン化によってオフチェーン資本市場の透明性と効率性が向上する可能性がある。
2.Vitalikブログ「イーサリアムはプロトコルにもっといろいろなものを組み込んでもいいのだろうか?」(read time 15min. )
現在のEthereumは、スケーラビリティ、アカウントの抽象化などの目的でプロトコルの改善が研究されている。しかし、Ethereumを可能な限りシンプルなバーチャルマシンとして存続させる部分も必要で、どの論点にもある種のトレードオフがある。
このブログでは、ERC-4337、zkEVM、ePBS、プライベートmempool、リキッドステーキング、さらなるプリコンパイルの導入といった論点をひとつずつ検討し、プロトコルに導入する際に発生する問題点を技術的に概説している。
以上の検討から今後のEthereumが進むべき道を決めるための教訓を抽象的にまとめており、技術を詰めこめばそれだけ負荷や複雑性が増大することを懸念している。ただし、適切な方法を模索することも必要で、どの機能をプロトコルに組み込むかは複雑なトレードオフを理解し研究を続ける必要があることを主張している。
本日は以上です。
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