先週までのクリプトアルファな情報を個人的な観点で振り返るROLLUPです。
先週のROLLUPはこちら👇
それでは本日もよろしくお願いします。DIVE INTO CRYPTO!
🧵CONTENTS
ROLLUP: 2023/09/16-24
[DEEP DIVE]インテントベースのインフラストラクチャを開発するEssentialが515万ドルをシードラウンドで資金調達
SolanaのVM、CelestiaのDA、EthereumのSettlement、RISCZeroのProofを利用するL2のEclipse
OPエアドロップ3回目
Arbitrumオデッセイが再開する
Arbitrumの短期インセンティブプログラム可決
stUSDTのリスクアセスメント
a16zcryptoが「分散型ガバナンスを修正するための原則」を公開
Cosmos SDKによるDeFi特化チェーンCantoがL2展開発表
インテントとオーダーフローオークションのあるMemswap
GammaSwapがArbitrumでメインネットローンチ
Proof of Playがa16z・Naval・Balajiなどから3,300万ドルの資金調達
Coinbase CLOがBaseのトークン発行の可能性を示唆
2023年9月のBaseエコシステムの概要
オンチェーンAuditのためのERC-7512
Dencun 2024年に延期の可能性
Ethereumのスケーリングソリューション(zkEVM)のScrollが数週間以内にメインネット公開
[DEEP DIVE]
1.インテントベースのインフラストラクチャを開発するEssentialが515万ドルをシードラウンドで資金調達
インテントベースのインフラストラクチャとツールの開発を行うEssentialがシードラウンドの資金調達を発表した。
このラウンドは2023年初めに終了し、 Maven 11が主導し、 Robot Ventures、Kartage、Batu、Skip、James Prestwich、Brandon Curtis、Eclipse創設者のNeel Somaniなどの投資家が参加した。
インテントとは
インテント(Intent)とは、トランザクションの実行結果を表現するメッセージだ。実行される一連の命令ではなく、理想的な最終状態である。
現在のトランザクションは、HowからWhatまで自分で定義する。インテントでは、Whatだけを指定する意思表示をネットワークに送信すれば、プロセスは第三者によって処理されトランザクションが実行される。イメージとしては以下のようになる。
インテントとは何かについては、以下の記事で詳しく解説している。なぜ、インテントを実現するためには、アカウントアブストラクション(ERC-4337)が必要なのか理解できると思う。
ではなぜ、そもそもインテントが必要なのか?
その背景を簡潔に述べるなら、現在のブロックチェーンはプロトコルレベルでユーザーにとってハードモードであるためだ。
フロントランニングやサンドイッチ攻撃などもあり得る。それは合理的な行動になっているので是正は難しい。
Essentialは、「人々は価値を抽出することではなく、価値を創造することで報酬を受け取るべきだ」という理念により、エンドユーザーと仲介者のインセンティブとエコシステムのあり方を改めて問い直す。
Essentialが開発するプロダクトは、以下の3つだ。
Essentialが開発するプロダクト
インテントを表現するためのDSL:インテントを表現、構成、解析するための標準化されたユニバーサルドメイン固有言語(domain-specific language)を構築している。ユーザーのインテントを正しく認識するためにソルバー(※¹)が同じ言語を用いて推論する必要がある。
EVM対応のIntent-centric(※²)なアカウントアブストラクション標準:できるだけ多くのユーザーにインテント機能を提供するために、アカウントアブストラクションのための標準ルールを開発。ソルバーはエンドユーザーに代わってオンチェーン操作を実行する権限を必要とするため、アカウントの抽象化が必要。
モジュラーインテントレイヤー:既存のエコシステムにインテントを導入した後、次のステップとしてモジュラーインテントレイヤーの構築する。このレイヤーは、インテント専用のプロトコルを設計である。ソルバーは、このプロトコルを通じて効率的にソリューションを提供し、オーダーフローの集約やMEV抵抗(ソルバー自身ではなくユーザーに利益をもたらす意味)などの機能をモジュール単位で構築できるように設計される。最終的にクロスチェーンでのインテント実行も可能になると考えられる。
※¹ソルバーとは、インテントのリクエストを受け取りそこから最良の結果を提供するために競合するアクター、あるいはそのネットワークを指す。
※²Intent-centricとは、現在のトランザクションを中心とした体系ではなくインテントを中心とした体系を目指すことをいう。
なお、インテントに対応する規格ERC-7521でのコントラクトウォレットの開発も行っている。
インテントは、今後も整備が進めばユーザーエクスペリエンスの大幅な向上を期待できる。DEXアグリゲーターでスワップすることが、最適なレートでスワップをするべき場所を探すよりも楽なのと同じようなものだ。
それをブロックチェーン全体で実現し、さらにMEVによる抽出をできる限りユーザーにとって公正なものにしようする。
個人的には、MEVは現在開発者の中で活発に議論されており、2024年にはMEVを防ぐソリューションを開発する企業が多く注目されるようになるのではないかと予想している。
具体的にこの分野に進出しているDEXとしては、Uniswap XやCowSwapなどが有名だ。おそらくこの領域に進出するプロトコルは増えるかも知れない。
現在は「ERC-4337のウォレットをどう実装するか?」という議論が進んでいる。ぼくは間違いなく次の段階は「インテントをどう組み込んで実装するか?」という議論になると思っている。インテントは、アカウントの抽象化を前提にしている。
2.SolanaのVM、CelestiaのDA、EthereumのSettlementとRISCZeroのProofを利用するL2のEclipse
Eclipseがメインネットで展開するモジュラーブロックチェーンのアーキテクチャが公開された。
特筆したいのは、実行レイヤーにSolana-VMを利用すること、他のロールアップ(ArbitrumやOptimism)とは異なりDAレイヤーとしてEigen DAを採用する点。
Solana-VMを用いればEVMのように順にトランザクションを一つずつ処理するのではなく並列処理ができる。並列処理のメリットは、同じステートに含まれないトランザクションには、ガスコストを急増させないといったことがある(L2内のトランザクションのみ)。
EVMでは、トランザクションごとにフル・ステート・アクセスが可能であるため、ロールアップ・ステートが大きくなるにつれてルックアップが遅くなるというデメリットがある。SVMではこれを解消できるとのこと。
3.OPエアドロップ3回目
Optimismが3回目のエアドロ実施した。
今回は1,900万OPが割り当てられた 2023年1月20日から7月20日の間にOPトークンの議決権を委任したアドレスに直接支払われた。
Claimページはない。 エアドロ適格基準と割り当ての詳細については、ドキュメント参照 。
残り570mのOPは未配布。
4.Arbitrumオデッセイが再開する
ポータルサイト→https://portal.arbitrum.io/odyssey
Week1は上記から始まります。$ARBのエアドロップの対象になる可能性があると言われています。時間と余裕がある方は取り組んでおく良いでしょう。
5.Arbitrumの短期インセンティブプログラム可決
6.stUSDTのリスクアセスメント
”stUSDT チームは、リベース、ブラックリスト登録、ミントの一時停止を管理し、EOA アカウントのユーザー資金を処理します。これらのチーム メンバーは匿名であるため、秘密キーのセキュリティや信頼性を検証する方法はありません。”
わりと恐ろしいことがスラッと書かれている🥶
7.a16zcryptoが「分散型ガバナンスを修正するための原則」を公開
8.Cosmos SDKによるDeFi特化チェーンCantoがL2展開発表
L2に移行するL1がちらほら現れている。先日解説したAstar zkEVMもその一つだ。
9.IntentとオーダーフローオークションのあるMemswap
こちらもIntent-centricなDEXだ。
10.GammaSwapがArbitrumでメインネットローンチ
11.Proof of Playがa16z・Naval・Balajiなどから3,300万ドルの資金調達
12.Coinbase CLOがBaseのトークン発行の可能性を示唆
13.2023年9月のBaseエコシステムの概要
14.オンチェーンAuditのためのERC-7512
15.Dencun 2024年に延期の可能性
16.Ethereumのスケーリングソリューション(zkEVM)のScrollが数週間以内にメインネット公開
本日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。もしこの記事を気に入っていただけたら、「いいね・Xでのシェア」をしてだけたらとても嬉しいです。感想や質問はコメントでお願いします。
🐦コミュニティ
Xでいただいたリプライや感想を紹介しています。読者の声が、ニュースレター継続の最大の原動力です。
嬉しいコメントありがとうございました!
😌筆者のひとこと
有料プランでクリプト決済ができないか?というご質問をいただきました!
現在はSubstackの支払い方法しか想定していないのですが、ご要望が多ければ「年額のみで」対応は検討してみたいと思っています。
手作業になるので他のプランよりもやや値段を高く設定するかもしれません。
NFTを発行する…なども考えたのですがやっぱりオペレーションが増えそうだなと。。。最初に考えるべきことは、「読者への提供価値を如何に向上させるか」にフォーカスさせたいと考えてます。そのため、支払い方法は優先順位があとになっているという感じです。
🐸今週のMeme
すみません、ネタが尽きました。。。
新コーナーを模索します。周りに見えてしまうよりも匿名の質問がしやすいと思いますので、匿名質問を募集します。QRコードでもスマホから匿名で質問ができます。
免責事項
このニュースレターは、教育目的の情報提供を主旨としており、金融に関するアドバイスではありません。ご自身での調査やデューデリジェンスが必要です。