トランプ大統領候補が、公演中に銃撃で負傷しました。軽傷で済み、その姿が国民に大きな影響をもたらすことに繋がり暗号資産相場は上昇局面になりました。
トランプ氏のような暗号資産に積極的な大統領が当選すれば、暗号資産業界に新たな潮流が米国から生まれると思っています。今回のできごとで死傷者が出ているため複雑な心境ですが、改めて大統領選挙の行方は注目に値するトピックだと感じさせられます。
今週のDeep Diveでは、ブリュッセルで開催されたEthCCでの発表内容や、イベントの状況を振り返ります。直接参加することはできませんでしたが、できるだけ現場の感覚が伝えられるように情報収集しました。最前線の動向や肌感を理解するには、意義深いカンファレンスになったのではないかと思います。
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⛓️ Resources
Trump's Odds of Victory Hit All-Time High on Polymarket After Shooting
The First Beta Release of the Shutterized Gnosis Chain Is Now Live!
Karak - expanding universal restaking for any asset and introduce staking functionality for Arbitrum
Polygon Minden - the Miden alpha testnet just got even better
TON Blockchain Ecosystem to Get New Layer-2 Network Based on Polygon Tech
Uniswap Labs urged the SEC not to proceed with its proposed rulemaking
Kernel Protocol is Now Live: Everything You Need To Know About the First Suite of Karak-Native LRTs
Introducing the idOS Consortium Partners and our $4.5m Funding Round
On-chain credit and yield platform Idle raises $2.4 million in total strategic funding
Trump's Odds of Victory Hit All-Time High on Polymarket After Shooting
7月13日、ペンシルベニア州での選挙集会中にドナルド・トランプ元大統領が銃撃を受け軽傷を負う事件が発生しました。この事件を受けて、暗号資産予測市場Polymarketでは、トランプ氏の大統領選勝利確率が過去最高の70%まで上昇しました。
トランプ氏に関連するPoliFiミームコインのMAGAの価格が急騰し、対照的にバイデン大統領関連のトークンは下落しました。ビットコインを含む暗号資産市場全体も上昇傾向を示しています。
この現象は、トランプ氏が暗号資産に好意的な姿勢を示していることや、共和党が現政権の暗号資産規制強化に反対していることと関連していると思われます。
The First Beta Release of the Shutterized Gnosis Chain Is Now Live!
Gnosis、Nethermind、Shutterチームが協力し、Gnosis Chainに暗号化トランザクション機能を導入しました。
これは、ブロックチェーンの公平性と中立性を高めることを目的としていて、悪意のあるMEV攻撃からユーザーを保護する役割を果たします。
仕組みとしては、トランザクションが暗号化されてメモリプール(未処理トランザクションの一時保管場所)に送られます。これにより、トランザクションの内容が処理されるまで秘匿され、フロントランニングなどの攻撃を防ぎます。
現在はベータ版であり、参加するバリデータとKeyper(鍵管理者)の数が限られているため、トランザクションの処理に時間がかかる可能性があります。
You can now track narratives on defillama!
DeFiLlamaから、ナラティブトラッキング機能が発表されました。AIやRWAのようなカテゴリーごとのプロジェクトの時価総額のパフォーマンスがある期間からどれくらい変化したのか?
といったことを読み解くことができます。トレンド把握に便利だと思います。
Karak - expanding universal restaking for any asset and introduce staking functionality for Arbitrum
リステーキングプロトコルのKarakがArbitrumへ対応することが発表されました。EigenLayerやSymbioticはまだEthereum以外に展開していません。
KarakはEigenLayerと違い、ユニバーサルリステーキングといってEth以外のトークンをリステーキングできる点に特徴があります。
OEV Network now fully integrated with API3's Oracle Stack
API3が「OEVネットワーク」を正式にローンチしました。
従来、レンディングプロトコルは、清算(担保価値が下がった際のポジション解消)の際に多額の報酬を支払っています。OEVネットワークは、このプロセスを最適化し、プロトコルが失っていた価値を一部取り戻す働きをします。
具体的には、オラクル更新の権利をオークション形式で販売し、その収益をプロトコルに還元します。これにより、年間数千万ドルの価値が保護される可能性があるといいます。
また、このネットワークはArbitrum Orbitで作成されてます。
Asphere社が、ブロックチェーン開発を簡単にする「ノーコードデプロイヤー」を発表しました。これは、プログラミングの知識がなくても、ブロックチェーンを立ち上げて管理できるツールです。数分でロールアップを構築できます。
開発者はインターフェースから設定を選び、独自のブロックチェーンとトークンの作成も簡単にできるようになり、ユーザーはアプリケーションの開発に集中できるようになります。
AsphereはリキッドステーキングやDePINノード運用など、その他の機能も提供していますので、今後個人やエンタープライズでの活用が広がるかも知れません。
Polygon Minden - the Miden alpha testnet just got even better
Polygon MidenのAlphaテストネット第3版がリリースされました。Midenは、ユーザーが自身でゼロ知識証明を作成・実行できるブロックチェーンだと説明されています。
ドキュメントによれば、
高スループット:短時間で多数のトランザクションを処理する能力
プライバシー:データを匿名かつ秘密裏に処理・保存する
資産の安全性:ミスや悪意ある行動によるアセット損失のリスクを最小限に抑える
という特徴があるとされてます。
独自の状態を管理し、ゼロ知識証明を用いて状態遷移の正当性を証明できるとされており、ローカルでのスマートコントラクト実行やプライベートスマートコントラクトが可能にします。
Midenはプライバシーを保護しつつ、並列トランザクション実行できるという汎用性があります。
Rustコンパイラやオラクルサポートなど、さらなる機能の追加が予定されています。
STRK staking is coming to Starknet!
Starknetは、ブロックチェーンの分散化を進める重要な一歩として、ステーキングの第一段階を2024年第4四半期に導入する予定です。
システムでは、STRKトークンを直接ステーキングする方法と、他のステーカーに委任する方法の2種類が用意されます。報酬はトークンの新規発行に基づいて計算され、総ステーク量に応じて変動する計算式が採用されています。
セキュリティ面では、モジュラー設計や複数アドレスによる権限管理、21日間のロックアップ期間などの対策が講じられています。将来的には、ステーカーがブロックの検証や生成を担当するようになり、ネットワークの安定性と安全性が強化される見込みです。
TON Blockchain Ecosystem to Get New Layer-2 Network Based on Polygon Tech
TONブロックチェーンエコシステムに新しいレイヤー2ネットワークが導入される予定です。TON Applications Chain(TAC)と呼ばれ、Polygon CDKを活用します。
TACはEVM互換性がありつつ、TONエコシステム向けにアプリケーションを移植できるようになり、DeFiやゲーム、DIDなどの分野が期待されています。
PolygonのAggLayerを利用するので、ゼロ知識証明技術やブロックチェーン間の相互運用性を実現でき、TONエコシステムが他のチェーンとの相互運用性を持つことができる可能性があります。
Introducing the Fuel Points Program
Fuelが、メインネット立ち上げに向けてFuel Pointsプログラムを開始しました。早期貢献者にインセンティブを提供し、メインネット立ち上げに必要な流動性を確保することを目的にしています。
ETHやUSDC、stETHなどをデポジットすれば、日次でポイントが獲得できます。早期参加者にはポイントが多く受け取れる報酬設計になっています。
今後、Fuelが発行するトークンの価値は、どんなdAppsが展開されるかによって左右されること、モジュラーのナラティブに陰りがあることを考えると、現時点では優先して参加すべきか判断が難しい状況です。
Introducing Puffer UniFi - Puffer’s Based Rollup
Puffer FinanceがUniFiという新しいロールアップを発表しました。
Taikoのように、Basedロールアップを採用していて、Ethereum(L1)でトランザクションの順序付けを行います。
Basedロールアップでは、他のBasedロールアップとの相互運用性がありますので、ブリッジ不要で統合された流動性とアプリケーションが利用できるメリットがあります。
unifiETHという汎用ガストークンを導入し、ガスレストランザクションを可能にするとしています。
Kernel Protocol is Now Live: Everything You Need To Know About the First Suite of Karak-Native LRTs
Kernel ProtocolがKarak向けの新しいLRTを発表しました。3種類のLRTを導入します。
ksETH: ETH関連LSTで発行
krETH: 他のLRTで発行
kUSD: ドルペッグ資産で発行
Kernelでは、Karakでステーキングしつつ、LRTを他のDeFiプロトコルで利用可能で、Karak XPとKernel Pointsの両方を獲得しつつ、他のDeFiで追加の収益機会を狙うことができます。
Kernel Pointsは、LRTの発行やLPの提供で獲得でき、将来のKERNトークンと交換可能だとされています。
🪙 Funding
Introducing the idOS Consortium Partners and our $4.5m Funding Round
idOSは、分散型アイデンティティ層を提供することを目指すプロトコルです。
idOSは、ユーザーが自身のデータを管理し、共有を制御できる分散型のデータストレージと管理システムを提供します。これにより、現在のWeb3アプリケーションが抱えるユーザー認証と規制遵守の課題を解決し、より摩擦の少ないオンボーディングを可能にすることを目指してます。
特に、idOSはOpenFi(オープンファイナンス)の実現に重点を置いています。これは、DeFiの仕組みを実世界の金融商品に組み込むことで、自己管理型のデビットカードや銀行口座などの新しいサービスを可能にします。
idOSの開発には、ArbitrumやCircle、Rippleなど、業界をリードする企業や財団が参加しており、今回では総額450万ドルの資金調達に成功しています。
従来の中央集権的なアイデンティティ管理システムとは異なり、idOSはユーザーデータを暗号化して分散型ストレージに保存します。これにより、データの可用性と相互運用性を確保しつつ、プライバシーを保護します。また、検証可能な認証情報を保存できるため、規制対象の事業者にも利用可能だとされています。
ユーザーのデータ主権を確立し、より安全で効率的な分散型金融サービスの発展を促進することで、暗号技術やブロックチェーンの社会実装を大きく前進させる際に役立つとされます。
Rome Protocolは、EthereumのL2に共有シーケンサーとしてSolanaを活用するプロジェクトです。
今回は900万ドルの資金調達を発表しており、Hack VC、HashKey Group、Polygon Ventures、Portal Venturesなどが含まれます。また、SolanaのAnatoly YakovenkoやAustin Federaなど、業界の著名人も投資に参加している点が興味深いです。
Rome Protocolは、Solanaの高速な取引処理能力(1秒あたり50,000以上の取引)をEthereumのロールアップのインフラストラクチャとして活用します。
Rome Protocolは、EthereumベースのロールアップがSolanaを共有シーケンサーとして使用できるようにします。これにより、取引の確認速度が向上し、プライバシーとスケーラビリティが強化され、ブロックチェーンのコストが削減されます。
この統合により、Ethereumの分離されたシーケンサーモデルに起因する流動性の分断、セキュリティの弱点、相互運用性の問題などの課題に対処します。
多くのロールアップが中央集権的なシーケンサーに依存している現状を改善し、検閲リスクや可視性の制限、重大なダウンタイムのリスクを軽減するとされています。
On-chain credit and yield platform Idle raises $2.4 million in total strategic funding
オンチェーン信用および利回りプラットフォームのIdleが、新たに240万ドルの戦略的資金調達に成功しました。この資金調達はRockawayXが主導し、Fasanara Digitalも参加しています。
IdleはDAOとして運営され、DeFi市場向けの利回り自動化とヘッジツールを提供しています。これまでに3億ドルの流動性を集め、20億ドル以上の取引量を達成するなど、着実な成長を遂げています。
今回調達した資金は、主にオンチェーン信用インフラの更なる開発に充てられる予定です。2020年11月に120万ドルのシード資金調達を行っています。
🗞️Others
🫧 Deep Dive
Web3→Onchainというムーブメント。EthCC7 2024を振り返る
ベルギーのブリュッセルで、7/8-11にEthereum Franceの主催のEthCC7(コミュニティカンファレンス)が開催されました。
会場に参加できていないので二次情報のForbsのハイライトをまとめた記事などを参考に、今回のEthCC7を振り返りながらぼくの考えをまとめます。
Vitalikの基調講演
Vitalikの基調講演では、Ethereumにおける51%攻撃の自動的な対応策、量子耐性への戦略、プロトコルのシンプル化について、今後のアプローチが話されました。
51% 攻撃とは、悪意のある行為者によって生成されるEthereumブロックの数が、正直な行為者によって生成されるブロックの数を上回る状態のことで、この最大の懸念はネットワークの検閲に繋がることです。
Vitalikの話では、検閲がされた場合には、正直な行動を取る少数派が自動的にチェーンをフォークできるようにすることが解決策の一つになると言っています。実際には、多くのハードルがあるため実現は容易ではないことを認めつつ、部分的に自動化することによって最適化できる可能性について話しました。
Ethereumのプロトコルには、まだまだ課題が残されています。先週号でも触れたトランザクションの検閲もその中の大きな問題の一つです。
https://diveintocrypto.xyz/p/eip-7732-epbs-ethereum
サイドイベント多すぎ?
今回のEthCC7では、スケジュールされたメインイベントの他に、500以上のサイドイベントが行われたそうです。女性の登壇者も多く、多様性や熱量の高い議論、ネットワーキングが行われたそうです。
一方で…
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