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Napier(ネイピア) Protocolが、CurveやConvexなどのファウンダーを含めたシードラウンドで100万ドルの資金調達を発表した。
参加した投資家がそうそうたるメンツであったこと、Napier Protocolのファウンダーが日本人であることからXで話題となっていた。
Napier Protocolは、Curveエコシステムに特化したイールドトークナイズ系の金利トレードをより資金効率の良い形で実現するAMMが特徴だ。
前提として、以前に紹介したイールドトークナイズを行うPendleの仕組みを理解していないとまるで理解ができないほど、仕組みは複雑だ。
要するに、将来受け取れるキャッシュフローの権利をYTとして切り分けることで、将来受け取るはずのイールドを先に受け取ったり、元本部分を売却して資本効率を向上させることが可能となり、運用戦略に幅が出るのだ。
詳しくは以下の記事で解説しているので、興味がある方はこの機会に参考にしてみてほしい。
ただ、そもそもイールドトークナイゼーションを学ぶ理由がなければインプットする気にもならないだろう。
そのため、その市場規模の予測は大きいと語られる理由を少し補足説明をする。
イールドトークナイゼーションの市場規模
Napier Protocolが提供する仕組みは、イールドトークナイぜーションの市場規模の成長の伸びしろや、その市場が成熟することでDeFiでの取引にさらなる柔軟性や多様性が生まれるなど、非常に期待がされている分野へのソリューションになる。
その意味では、いま最も期待の大きいDeFiプロトコルであると考えてもよいだろう。PendleやPrisma financeの成長を見れば、Napier Protocolの成長余地は大きいと言える。
イールドのトークン化によって出現するイールドマーケットの規模は、既存金融の金利デリバティブ市場の規模が参考になると考えられる。日銀の調査報告資料によれば2023年9月時点の国内OTC取引の87%を金利系商品の取引が行われている。その規模は、65.8兆ドルだ。取引所取引でも5割を超えている。
国内だけでこのような状態なので、世界市場にすればより大きな市場規模であろうことは予想でき、このようなマーケットの形成がDeFiでも形成され始めていることは注目に値すると考えるべきだろう。
このあたりの市場予測は、HashHub Researchでズバリ解説している記事がある。この記事以上に詳しく、そして端的に前提知識をインプットできる記事はないと思う。有料ですが興味があれば読んでみてください。
https://hashhub-research.com/articles/2021-10-26-about-pendle
ここからは、Napier Protocolの現時点で分かっている特徴として大きく分けて2つある、①メタプールを活用したPTトークンのスワップ、②時間依存メタプールについて概要を解説する。
1️⃣Curveのメタプールを利用したPTトークンの流動性の断片化の解消
イールドトークナイゼーションプロトコルでは、PT(プリンシパルトークン)とYT(イールドトークン)に利回りのあるトークンが分割される。YTは原資産から発生するイールド部分を表し、PTはイールドを覗いたトークンを表す。
例えば、あるトークンAのPTを取引できるプールがあるとする。一般的には、このPTトークンのプールはトークンごとに作られる。
Napier Protocolでは、このプールをCurveの3Poolのようなメタプールの仕組みを応用することで、PTトークンの流動性が断片化してしまう問題を解消する。
つまり、ユーザーは、マイナーなPTトークンであったとしても、3Poolのどれか別のPTトークンに効率的にスワップできるようになる。
ステーブルコインで例えると、LUSD‐3Pool(USDC、USDT、DAI)のように、LUSDから、USDC、USDT、DAIのいずれか好きなトークンに効率的にスワップできるようなプールをイメージしてもらいたい。
そもそもこのプールの目的は、3Poolとスワップできるようにすることでマイナーなトークンでも流動性を作りやすくするため、既存プールの流動性がマイナープールとの流動性プール作成のために希薄化することを防ぐためだ。
上記の図ように、Napier Protocolが実現する3Poolがあたかも、PTと原資産のブリッジング(仲介)の役割を果たす。しかも、仮にPT/3Poolがハッキングされたとしても、3Poolに提供された流動性は守られるというセキュリティ性能も備えている。
このような恩恵をイールドトークナイズドプロトコルにおいて、実現するのがNapier Protocolだ。
参考
https://medium.com/napier-finance/introducing-napier-protocol-fix-fixed-yield-3de6ccae2afa
2️⃣時間依存メタプール(The time-dependent metapool)
時間依存メタプールは、Napierの独自AMMで取引される新しいコンセプトで、Curveでの満期付きトークンの取引を容易にするために時間パラメーターを組み込んでいる。
原資産ペアのメタプールはNapierのAMMで取引される理由は、新しい債権トークンプールの取引期間開始直後にPTやYTの価格を発見する必要があるため。
満期までの期間によって求められるAMMの性質が異なるため、Napierの時間依存AMMは必要不可欠な要素となる。
この時間依存メタプールでの取引により、3pool LPの価格が発見され、PTのインデックス価格が設定される仕組みだ。経過した期間のキャッシュフローを得ることはできないためYTの価値は時間の経過とともに漸減(Time Decay)していく。そのタイムディケイを追跡して価格を把握できるAMMを構築することで、アセットのスワップを効率化することができる。
Uniswap や Curve など、時間パラメータが組み込まれていない他の AMM で取引した場合、上記のような時間の変動による資産価値の変動を考慮できない。
このような課題を解消するため、Napier Protocolは独自のAMMを構築していると考えられる。
Napier Protocolに対する流動性プロバイダーの観点でのメリットは、取引手数料、CRV、CVXを得ること。CRVやCVXはConvexでステーキングすれば報酬を増やすことができる。おそらくPrisma FinanceのようにConvexの傘下として機能するはずである。
現時点では、ブログの抽象的な説明を参考にするしかないが、今後ドキュメントなどが公開されればどのような仕組みなのかが、よりはっきりと見えてくるだろう。
Time-dependent metapoolについては、以下のブログも参考になる。
本日は以上です。
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