🧵ROLLUP: Goldfinchで初のデフォルト/Lyla V2/Modeテストネット/Houbiオンチェーン分析/モジュラーAA/Bitcoin ETF延期/StaderのLRT/DeBank chain/Aerodromeエアドロップ
2023/08/07 -14 先週クリプトで何があった? -#82
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先週起きたクリプトニュースを個人的な観点から振り返る「ROLLUP」。
「いいね、Twitterでのシェアが多く需要がありそうなことが分かれば継続します。」と、前回記事に記載したところ、いいねやTwitter上での感想・リクエストなどを頂戴いたしました。ありがとうございました。
先週分はこちらです。
前回の反省から以下のようなブラッシュアップを行いました。
無機質なAIによる無駄な情報も均一になったニュースまとめではなく本質を簡潔に伝える文章を心がける
海外メディアの2次情報ソースは可能な限り避け、プロジェクトの1次情報を取り扱うように心がける
ニュースの数を最小限にとどめ、本当に読む価値があると筆者が思うものに厳選する
ブラッシュアップの意図は、他のAIによるメディアとの差別化です。
筆者の属人性とスキルセットを発揮して、ここでしか読めない「ニュースまとめ」を展開できるはずだと思っています。
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🧵Contents ROLLUP 2023/08/07-14
新興国企業向けReal world assetベースの分散型ローンプロトコルGoldfinchで初のデフォルト発生
OptimismのオプションプロトコルLylaがV2ローンチとOPstackのLyra Chainを発表
Optimism SuperchainエコシステムModeがパブリックテストネットをローンチ
インテントセントリック(intent-Centric)のナラティヴ
米国債トークナイズプロトコルのOndo ProtocolがステーブルコインUSDYを展開
Houbiの準備資産の状況をオンチェーンから探る
EIP-6900:モジュラーアカウントアブスクトラクションとは何か
Bitcoin ETFの承認をSECが延期決定
リキッドリステークドトークン(LRT):Staderの仕組みとは
オンチェーンポートフィリオツールDebankがOpstackによる独自チェーン発表:ソーシャルレイヤーとは何か
レイヤー2Base上でveトークノミクスを展開するAerodromeが独自トークンのトークノミクスと分配比率を公開
*太字の部分だけ斜め読みしても中身を大体理解できるようにしています。
1.新興国企業向けReal world assetベースの分散型ローンプロトコルGoldfinchで初のデフォルト発生
ウガンダに本社を置くTugendeはオートバイ・タクシーのファイナンス企業。
消費者ローンによってバイクを保有できるようにし、バイクを法外なレンタルコストを支払わずとも購入できるローンを提供する。
2021年10月、Goldfinch ProtocolはTugende Kenyaに500万ドルの融資を行い、2023年10月に満期を迎える。2022年12月、Tugendeの契約違反による無断融資を行っていたことが判明。Goldfinchコミュニティは是正措置を求めていた。
結果としては、Tugendeの経営難によりGoldfinchへの返済が現実的ではなく、会社再編が必要な状況に陥っている。これにより、プール資金提供者は評価損が計上されることになるが正確な金額はまだ確定していないという。
カウンターパーティリスクを端的に示している事例。
2.OptimismのオプションプロトコルLylaがV2ローンチとOPstackのLyra Chainを発表
Lyraはコール・プットなどのオプション取引ができるDEX。
コンポーザビリティ、セルフ・カストディ、分散化を維持しながら、高性能で低コストの金融商品をサポートできるL2やアプリチェーンの普及がされてきたことを背景にV2の設計が行われたという。
V2の特徴と目的:
証拠金機能のサポート:
オプションのポートフォリオ・マージン
オプションとパーペチュアル間のクロス・マージン
マルチアセット担保、例えばETHカバードコールを売るためにwstETHを担保に借りる
機関投資家のグレード・オーダー・マッチングの促進
暗号市場にオプションを再普及させる
Lyra Chain:
そして、これらの環境を最大限活かすためにOPstackによる独自レイヤー2チェーンを展開させる。
Lyra DAOは、Lyraプロトコルから取引手数料を、Lyraトークン保有者によって管理されるLyra Chainからガス手数料を得ることができる。
3.Optimism SuperchainエコシステムModeがパブリックテストネットをローンチ
Modeがパブリックテストネットを公開。Modeは、エンドユーザーやアプリケーション開発者の持続的な成長にフォーカスしたL2だという。2つの特徴がある。
1:プロトコルレベルイントロデューシング
Modeを他のユーザーに紹介したユーザー・開発者はシーケンサー収益の一定割合を得ることができる。
2:コントラクト・セキュアード・レベニュー
ネットワークを成長させるアプリをデプロイした開発者は、シーケンサー利益の % を受け取ることができる。
シーケンサー手数料をユーザーに分配し、そこのエコシステムを持続的にしようとするアプローチは、他と差別化されている。しかし、初動が難しく軌道に乗れるかどうかが問題になるだろう。
現在はデプロイされているのはエクスプローラーなどの単純なものがほとんど。今後の予定は以下のとおり。
4.インテントセントリック(intent-Centric)のナラティヴ
Paradigmはクリプトで超有名なVC・リサーチチーム。米国のクリプト規制についても意見書を出すなど、業界を牽引する存在と言っても過言ではない。
そんなParadigmは、現在の協力提携状況と今後の調査領域として注目している領域を公開。そこに含まれたのがIntet-centricプロトコルおよびインフラである。
インテントとは、トランザクションのように結果とプロセスをすべて署名により決めるのではなく、結果と条件のみを指定する新たなトランザクションの在り方。
詳しくは以下の記事で解説しているので、そのナラティヴに興味がある読者はぜひ御覧いただきたい。
5.米国債トークナイズプロトコルのOndo ProtocolがステーブルコインUSDYを展開
USDYはトークン化された債券で、短期米国債と銀行預金を担保としている。USDYは米国以外の個人投資家や機関投資家もアクセス可能で、購入から40~50日後にオンチェーンで譲渡可能になる。執筆時点では5%のAPY。
USDYは、Ondoによって毎月事前に調整される変動金利制。
利回りは自動的に複利計算されるため、USDYの鋳造と償還が可能な米ドル建ての価値は毎日ゆっくりと上昇する仕組みになっている。
第三者による監視体制としてankuraと協力設置。KYC/AMLプロセスを経て利用可能なアセット。
中国警察から社員が捜査を受けている報道(Houbiサイドは否定)があり、信用不安が広がっているHoubi取引所の現時点の状況をオンチェーンデータから観察する。
6月28日時点で613mであったUSDTが、8月7日時点で46.7mまで減少。
準備資産の内訳は以下のとおり。3割弱がBTC、TRX23%、HT15%、stUSDTが12%。徐々にBTCはその割合を落としている傾向がある。
8月8日にある200mドルほどの入金はジャスティンであることが報道されている。Houbiは否定。
資産の10%以上をstUSDT、HT、TRXなどの不安定資産に依存していることも考慮すれば、捜査報道などが事実であることがあれば取引所の債務不履行、破綻もあり得るだろう。
7.EIP-6900:モジュラーアカウントアブスクトラクションとは何か
モジュラー・アカウントの抽象化とは、スマート・アカウントを構成可能なレゴのピースに分割することだ。
各モジュールは、コア・アカウントのオンチェーン機能を拡張できるスマート・コントラクトである。
ERC-6900は4月に発表され、モジュールとそのスマートアカウントへの統合方法を標準化することを目的としている。EIPは3種類のモジュール動作を規定している。
バリデーション:アカウント上でどのようなアクションを実行する権限を誰に与えるかをカスタマイズする機能
エグゼキューション:あらかじめ決められたトリガーに基づいて自動的に実行されるトランザクションの連鎖を設定する機能
フック:トランザクションの実行前または実行後に実行され、指定されたルールを強制する条件分岐
今日、アカウントの抽象化にはまだ大きな課題がある。その欠点は主に、ユーザーや開発者のカスタマイズの欠如に起因しており、ベンダーのロックインやユーザーの断片化につながっている。
既存のスマートアカウントに関する問題を解決するのに役立つのか?
開発者が全く新しいアカウントを実装するのではなく、モジュールを介してスマートアカウント機能を構築することで、コアアカウントの標準化を合理化し、ウォレットベンダー間の相互運用性を高めることができる。
例えば、オンチェーンの自動売買アプリケーションUnibotが、スマートアカウントに容易にアブスクトラクションされたUXを提供可能にできる。
大方の予想通りかもしれませんが、Bitcoin ETFの承認は延期されることになりました。
SECは、アーク・インベストメント・マネジメント(ARK)のスポット型ビットコイン上場投資信託(ETF)を承認するかどうかの判断を先送りしたことが、規制当局の提出書類で明らかになった。
6月には、世界最大の資産運用会社であるブラックロックもビットコインETFを申請しており、この動きは業界のゲームチェンジャーになると多くの人が見ているが、期待は薄いだろう。BTCは折り込み済みのようで大きな暴落は起きてない。
ただ、少し期待できる話題もある。来年の米国大統領選挙で大統領が共和党になればSECの動きが緩和されるという可能性が囁かれている。信憑性は不明。
9.リキッドリステークドトークン(LRT):Staderの仕組みとは
Staderというプロジェクトが、ETHやリキッドステーキングのリステーキングプロトコルを開発している。リステーキングについては、Eigen layerの解説時にまとめた。
Liquid Restaked Token(LRT)は、ETHやLST(Lquid Staking Token; e.g. stETH,rETH)をステーキングすることで発行されるトークンのこと。StaderはLidoなどと同じリキッドステーキングプロバイダーであり、ETHxというトークンをステーキングの対価として受け取ることができる。
LRTはステーキング報酬に応じてリベースされるトークンで、かつDeFIで運用したり流動性をもたせる事が可能。LRT DAOがステーキングされたLSTのノードオペレータへの分配とバリデータの監視を行う。
リステーキングを行うと、当然ステーキングしたLSTはロックされる。この流動性の喪失を解消して資本効率制を向上させたり、DeFiで運用するかリステーキングするかといったリスク評価の必要性とジレンマを解消できる。
コンセプトは、興味深いがセキュリティに対する懸念や、このようにぐるぐるとリステーキングしていくことはリスクに対する得られるメリットが許容できなくなる限界点がどこかにあるはず。
taderはノードオペレータの分散化にも取り組んでおり、誰でも4ETHでノード運営者として参加できるようにしている。また、安定したパフォーマンスを維持できるノードオペレータを確保するパーミッションドプールを用意して分散化と安定性のバランスを取る。
10.オンチェーンポートフィリオツールDebankがOpstackによる独自チェーン発表:ソーシャルレイヤーとは何か
DebankがOPstackによるL2のテストネットを公開した。メインネットは2024年の予定。
アセットソーシャルレイヤーになるというコンセプトが具体的にどのような意味を有するのかは不明。
おそらく、Lens Protocolのようなチャット機能を有効活用した分散型ソーシャルメディアにしていくつもりなのかも知れない。
ちなみに、テストネットの触るためにガストークンをリクエスとすることができる。手順は以下の通り。
RabbyウォレットのRabby BadgeをClaimする(Rabbyで一回でもスワップしていることが必要)
メニューからテストネットガストークンをリクエスト
以下の画像メニューはRabbyを立ち上げ、「More」をクリックすると表示される。
11.レイヤー2Base上でveトークノミクスを展開するAerodromeが独自トークンのトークノミクスと分配比率を公開
Baseエコシステムの成長が話題だ。
中でも筆者はOptimismで最も存在感のあるDEX:Velodrome V2のフォークであるAerodromeに注目している。Velodromeの仕組みはやや複雑だがよくできた流動性維持の仕組みがある。AerodromeはVelodromeチームが開発している。ここでは、仕組みの理解よりもその仕組みがすでにOptimismで成功していることを指摘したい。
Velodromeの仕組みの要点をまとめると、
Curveと同じようにVE(Vote-Escrowed)によって新規発行されるトークンをインセンティブにして流動性を集めて維持する
ボーナスでトークン発行されるプールのブーストは、veVELOによる投票になる
veVELOをNFT化しロックしたユーザーのインフレをリベースで解決する
トークン保持量が少なく影響力を行使できない問題をBribeによって解決
より詳しく知りたい方は以下の記事でveエコノミクスについてまとめている。
要するに、DEXは流動性が命なのでその流動性をあの手この手で持続可能にしている仕組みと理解すれば良い(もし要望が多ければ解説するのでコメントください)。
つまり、このモデルはある程度ワークすることは間違いない。そして、VelodromeのVELOトークンはTVLに相関して上昇した。
DeFiではしばしば、そのチェーンで支配的だった仕組みが他のチェーンでフォークされ再現されることを繰り返している。有名な例では、SushiswapやPancakeSwapだろう。
Aerodromeのエアドロップの要点としては、veVELOホルダーに40%もの割合が割かれている点だろう。ポイントは以下になる。なお、初期供給量は5億AERO。
最低1000 veVELOが必要
Verodrome発足時にチームおよび初期パートナーに付与されたveVELO残高は除外され、これらのveNFTによる新しいVELOロックのみが対象となる。
VELOのユーザー預金を受け入れたveVELOアグリゲーターレイヤーも除外される。
現在、500M以上のveVELOを保有する~3500のウォレットが対象となり、差し引き20%(1億3600万)が除外されると推定される。
スナップショットはまだされていない。
それから、AEROのジェネシス流動性プール(AERO/USDC)にも2%の割当があることを意識しておきたい。
AEROのインフレの影響を軽減するため、veAEROホルダーは以下の式に応じたリベースを毎週受け取ることができる。
パブリックローンチ後、UniswapやBalancerなどを差し置いてBaseで代表的なDEXといえばAerodromeということもあり得ると思う。
本日は以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。もしこの記事を気に入っていただけたら、「いいね・Twitterでのシェア」をしてだけたらとても嬉しいです。感想や質問はコメントでお願いします。
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